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【2巻5/15発売】田舎の中古物件に移住したら、なぜか幼女が住んでいた~ダンジョンと座敷わらし憑きの民泊はいかがですか?~  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第三章 妖怪の世界に行く

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98.ホテルマン、百鬼夜行に参加する

「珍しい物じゃないのか……」

「おい、こんなにどうしたんだ?」


 ソウとポチが驚くのも仕方ない。

 シルは霊樹の若葉を大量に取り出したからね。

 初めて冠を着けたままギルドに行った時しか、霊樹の若葉をギルドには見せていない。

 俺たちはほぼ毎日サラが森に行っていたため、その度シルがポケットに隠して採取していたのだろう。

 きっと高く売れるとわかって、カップラーメンの資金にするつもりだったんだな。


「もらっていいのかしら?」

「いいよ!」


 シルは大量の霊樹の若葉を渡すと、少しだけ顔色が良くなったような気がする。

 ただ、それと同時に注目も集まってしまう。


「ぐへへへ、俺にも一枚ばかり分けてくれないか?」

「嬢ちゃん、甘いものと交換しようか」


 珍しいものだと感じ取った男たちにシルは交渉されていた。


「うどん――」

「さあ、いつまでも長居するわけにはいかないからなー」


 俺はシルを抱きかかえてうどん屋の外に出る。

 あのままだとシルはうどんを交渉に霊樹の若葉を交換しそうだからな。

 それだけここのうどんはいつも美味しい。


「じゃあ、俺たちは母さんを家に送ってくる」

「次は森に行くなよ!」


 後から店を出てきたソウたちに注意される。

 そんなこと言ってもサラが勝手に森の中に入って遊んでいるからどうしようもない。


「くっ……ポチのくせにいいいい!」


 俺はポチの頭をガシガシと撫でる。

 きっと明日も薬草採取にいけば、サラが森の中にいく。

 だが、段々と森の中も霧が濃くなってきているから、危ないのはポチの言う通りだ。


「俺たちも冒険者ギルドに――」

「何かおかしくないか?」


 矢吹は突然周囲を警戒し始めた。

 俺も周囲を見渡していると、急に空が暗くなり始めた。

 雨でも降るのだろうか。


――カンカンカンカン!


 街中に響く鐘の音。

 まるで何かの危険を知らせる警報のような音に俺たちはすぐに身を寄せ合う。


「何が起きてるんだ?」

「いや、俺にもわからない。妖怪の世界なら百鬼夜行とか……」

「不吉なことは言わない方が――」

「お前らもすぐに逃げる準備をするんだ!」


 お店をしていた人たちは急いで荷物を片付け、住宅街の方へ逃げていく。

 まるで今いる場所が危険だと言っているようだ。


「はぁー、幸治があんなこと言うからだぞ」

「だって、急に空が暗くなったら不気味じゃん。俺たちも逃げるか」


 状況がわからない俺たちはとりあえず同じ方向に逃げることにした。

 住宅街の方にある出口から町を出るつもりなんだろうか。

 逃げていく人たちに紛れて走っていると、向こうからソウとポチが走ってきている姿が目に入った。

 向こうも気づいたのかすぐに駆けつけた。


「お前ら冒険者だからこっちだぞ!」


 逃げようとしていた俺の手をポチは引き止める。


「ん? 冒険者だと何かあるのか?」

「何って町を守る以外にあるかよ!」

「えっ……そうなのか?」


 何も知らない俺を見てポチはため息をついていた。


「冒険者になると町と住民を守る義務があるって説明されなかった?」


 どうやらソウの話では、冒険者ギルドに所属している人たちは基本的に町を守らないといけないらしい。

 何となく登録した時に説明された気もするが、はっきりとは覚えていない。


「この鐘の音ってまさか――」

「異常を知らせる鐘だな」


 さっき鳴っていた鐘の音はそのまま警鐘の意味だった。

 まさか冒険者が百鬼夜行に立ち向かうとは聞いてない。

 俺なんて囮にしか適してないからな。


「とりあえず情報を集めたいから、冒険者ギルドに行くぞ!」


 そのままポチに連れられて、冒険者ギルドに向かうことになった。

 明らかに俺たちは巻き込まれているだけだが、冒険者になっているから仕方ない。

 冒険者ギルドに着くと、中は重々しい空気が広がっていた。


「何が起きていますか!」

「ソウさん、ポチさん! 獣の闇庭から魔物が溢れ出しました!」


 職員の言葉に二人の顔は険しくなる。


「進行状況と魔物の数は!」

「現在町に向かっていますが、魔物の数はおよそ二百近くかと……」

「「二百!?」」


 二人は驚いて声を上げていた。

 確かに二百体も一気に押し寄せれば、門が破られる可能性もある。

 逃げないと命が危険だろう。


「魔物が二百体も攻めてきてるらしいぞ」

「二百か……」


 現状を矢吹にも共有する。

 ここは専門である探索者に任せた方がいいからな。


「今から緊急依頼を発令する! 高ランクの者は今すぐに魔物討伐の準備をお願いします! 色付き冒険者は城門にきた魔物の討伐と逃げ遅れている人がいないか見回りしてください」


 職員の声に各々動き出す。

 戦える者は装備を整え、そうではないものは住民の避難にあたる。

 魔物が到着するまでに倒せたらいいが、二百体もいれば多少なりとも損害は出るだろう。


「ふくたちのランクはなんだ?」


 俺は腕のブレスレットを見せつける。


「銅ランクか。なら戦場に行かないといけないな」

「……戦場!?」


 ソウの言葉を聞き間違えたのだろうか。

 戸惑っていると、ソウはため息をついていた。


「はぁー、依頼ポイントが高い薬草採取でランクが上がったのか……」


 確かにブレスレットの石が赤から銅色になった。

 薬草を納品すると、白、青、紫、赤そして銅色へと変化したが、職員には気にしなくても良いとは言われていたけど……。


「依頼に関しては承諾の自由はあるが、緊急依頼に関してはブレスレットに合わせて受けないといけない」


 どうやら薬草を納品しすぎて、過剰評価になっているらしい。

 俺は精霊使いって扱いだしな。

 俺以外には戦う力はあるが、俺にできることは囮しかないけど……。


「ふく、うどんたべほうだいになるんだって!」


 シルたちは冒険者と何かを話していた。

 途中でお店を出てきたことを根に持っているのだろうか。


「うちの店は緊急依頼が終わった後に店を無料で解放するんだ」

「ふく、行かない理由はないよね?……呪うよ?」


 ケトはジーッと俺を見つめている。

 牛島さんのご飯じゃないのに、お店に心を奪われているようだ。

 それに冒険者ランクが上がっているなら、俺たちはどちらにしろ参加しないといけない。


「よし! うどんのためにいくぞー!」

「「「「うどおおおおおおん!」」」」


 俺たちは気合いを入れて町の門へ向かった。


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