Section24
Gilles
ティアナはあんなに嬉しそうにルシェルナと庭へ出て行ったのに、帰ってきてから一言も口をきいていない。
ルシェルナと何かあったのだろうか。
二人とも、そっぽを向くような感じでお互いに話そうとしない。
そればかりか、僕らとも口を聞いてくれなかった。
ここ最近、ティアナが一時間でも喋らないことなんてなかった。
考えられるのは、それくらいティアナにとって大きな事が起きたということだ。
ルシェルナとちょっと喧嘩をしたくらいじゃこんなことにはならないと思う。
と言うより、喧嘩するような理由が見当たらない。
……でも直接聞くのもためらわれる。
とりあえず、僕はこの旅行をちゃんと無事に終わらせないといけない。
この旅行の企画者だし、そうしなければならない義務があると思う。
そう考えて今日泊まる宿に向かう。
「ジル、ルーシェとティアナがなんかおかしいんだけど……」
……そのことを考えているまさにその最中にクレアに話しかけられた。
「僕もそのことを考えていたところだったよ、何かあったのかな」
「奇遇だな、俺もそのことを考えていた」
ラルフもだったみたいだ。
まあ、今まで一緒にいたんだし、僕らの誰が見ても二人に何かあったことくらいは分かるかもしれない。
「でも、何があったかは聞きづらいよね」
僕は二人に言う。
「そうね、無理に聞くのはよくないと思う」
「それじゃあどうするんだ?」
ラルフが疑問を投げかける。
僕たち3人は押し黙った。
……確かに、どうしたものだろうか。
「やはり、ここは二人の問題だから二人が仲直りをするのを待つべきだと思うが」
ラルフは続けて話した。
二人が仲直りするのを待つべきなのは最もかもしれない。
……だけど、僕たちは何も手を差しべなくていいのだろうか。
二人は一緒に旅行をしてきた仲間じゃないか。
なのに、黙って見守ることしかできないのは何か違うような気がする。
「二人が仲直りをするために何か助言はできないかな?」
僕は思っていたことをそのまま口にした。
「二人が喧嘩しているって言うのはもう確定なのね……」
「当たり前だよ、それしか考えられない。でも、僕が思うにただの喧嘩じゃないと思う」
そうじゃなきゃ、少なくともティアナはあんな風にはならないはずだ。
それは僕がよく知っている。
「このまま仲直りしてくれればいいけど、難しそうね」
クレアはふとそんなことを言う。
でも、確かに今の状況を見る限りは一向に解決しそうにない。
と、そんなことを離している間に、ホテルに着いてしまった。
旅行自体は明日で終わりだけど、このままだとルシェルナとティアナは喧嘩をしたまま仲直りしないんじゃないだろうか。
ティアナも表ではあんな感じだけど、裏を僕は知っている。
だからこそ、そんな不安を抱いてしまう。
「ジル、ホテル着いたぞ」
……考え事をしてて、ラルフに一言言われる。
しっかりしないといけない。
二人がこうなったのはこの旅行が原因なのは違いない。
その責任は僕にもあるはずだ。
ホテルに入って受付けを済ませた後、それぞれ部屋に分かれた。
一応、クレアには二人の間で何かあっても仲裁するように言っておいたけど……
さすがに二人が心配だ。
部屋だって女子3人で、いままで一緒にやってきたわけだし。
旅行というのは一人でもかけると台無しになってしまう。
それに、誰かが喧嘩したら場の雰囲気だって悪くなる、それは当たり前の話だ。
……でも、だからこそみんなで支えあっていかなければいけない。
友達だからこそ、そのメンバー同士が喧嘩したりしても、助け合ったり仲裁に入ったりするべきだと思う。
だから、今はまだ二人が喧嘩した理由とかは分からないけど、ちゃんと仲直りしてティリンへ帰りたい。
「ジル、そろそろ夕食の時間だ」
「あ、もうそんな時間か。それじゃあいこう」
僕はラルフに催促されながら夕食を食べに食堂へと向かった――




