Section23
Lucerna
――全て、思い出した。
私はここで……この場所で……
そして私は、ディジスのあの街で殺されたんだ。
はっと気づくのは、目の前にいるティアナのことだった。
間違いなく……彼女が、エルナだ。
きっと今の記憶は過去のもの。
所謂、前世って言うものなのかもしれない。
……時を越えて、ここでエルナに会えたのなら、それは素敵なことなんじゃないのかな。
なんて思ってしまう。
――でも、ティアナは違った。
「……」
「ティアナ?」
「――ルーシェちゃんが……シエラちゃんなんでしょ」
ティアナは、まるでエルナのように一言、私に言った。
……それも、そっけなくポツリと。
「うん、そうだよ。あのね、エルナ――」
私がそう答えた時だった。
「――私は、シエラちゃんと仲直りする気はないから」
ティアナにそう言われてた、私は言いかけていた言葉を口にできなかった。
と言うより、ティアナ……いやエルナが私に対してどんなことを思っていたのかを今の一言で知ってしまったような気がする。
……そして、二人とも無言になった。
ティアナはずっと私のことを睨んでいる。
さっきまで私の手をひっぱっていたティアナとは思えないくらい。
――なんだか、悲しいなぁ。
でも、私が何も悪くないわけでもないし、状況もこんなになって思い出すって言うのも……
まさか前世のことをいきなり思い出すなんて思わなかった。
頭の中に浮かんできたあの映像は、たぶん前世なんだろう。
だってあまりにもリアルだったし……何よりティアナも同じ時代の記憶を共有している。
――そして、この場所は。
私が死んでも覚えていたいと願った場所だった。
でも、やっとこうやって会えたけどティアナは仲直りはしてくれないと言った。
マリエルに言われてエルナに会うことを決めたけど、実際にこうやって会えても正直何をどういえば良いのか分からない。
そんな無言でいた私たちの静寂を崩したのは、クレアだった。
「……あなたたちどうしたの?何かあったの?」
「ええと、ちょっといろいろとあって……」
正直クレアやジルたちに説明しても信じがたいことだと思うし、いろいろと迷惑もかけたくない。
だからクレアに事情を説明するのはためらった。
「ティアナ、とりあえず今はいったんこの話は忘れようよ」
「無理だよ。でも、確かにクレアちゃんやジルたちに迷惑はかけたくないかな」
ティアナも同じことを考えていたんだ。
……なんだか、エルナの面影がやっぱり混じってるのは気のせいかな。
いやいや、そんな事を言ったら私もシエラっぽくなってるかも!
でも、なんとなくだけどティアナ、いやエルナとは仲直りできるような気がする。
私がエルナを裏切ろうと思っていなかったのは本当だから。
……私と言うより、いや私なんだけどシエラさんが。
シエラの記憶を持っているのは私だけど、私はシエラ・エルスリールじゃない。
それは多分ティアナも同じだと思う。
だけど、そう単純な話じゃないことも事実なんだよね。
そんな事を考えながら私たちはジルたちのところに戻って行った――




