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Entwined complexity  作者: emiru
過去編(第二章)
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39/109

Section13


Erna

あの事件から1ヶ月……私は淡々と毎日を過ごしていた。

――シエラちゃんは、正式にエルスリール家を継ぐことになったんだよね。

コンサートであんなことが起きたから、私たちのブロンシェル行きは当然白紙になった。

シエラちゃんも、アルフォンスも、マリエルさんも……みんな頑張っているのに……

――私だけが取り残されたようで。

心のもやもやがいつまで経っても取れないまま……

アルフォンスは忙しい中、私に気にかけてくれるけど……その心遣いが何か少し遠く感じるようになった。

(――あの日から、すべて変わっちゃったんだ……)

もう戻れないのかな……

そんなことをいつも考えてしまう。

またゆったりとした時間が来ればいいのにと。

……最近はシエラちゃんとのお食事会もずっと中断している。

(――シエラちゃん、来てくれないかな)

来るはずがないことはわかってるんだけど……

あれからシエラちゃんは猛勉強しているみたい。

マリエルさんや、お屋敷の人から政治のこととかを教わったりして……

来週にはとうとう、正式にエルスリール家の当主として4家の会議にでるらしいし――

「――エルナお嬢様」

「う、うわぁ!」

いきなりアルフォンスに呼ばれてびっくりしちゃった……

「アルフォンス……いきなり脅かさないで……びっくりしちゃうから」

「すいませんお嬢様、脅かしてしまいましたね」

「もう……わざとだよね……?」

「ははは、そんなことはありませんよ」

アルフォンスはたまに私をからかってくるんだよね。

まあ、なんかそれが兄弟みたいで楽しいんだけど……

「アルフォンス、それでどうしたの……?」

「それがですね、お嬢様……うれしいお知らせがありますよ」

(――嬉しいお知らせ……?)

なんだろう……何かあったかな?

あれ、そういえばさっき私が考えてたこと……

あ!もしかして――

「シエラちゃんが来るんだ!」

「さすがお嬢様、お気づきが早いですね」

「アルフォンス、シエラちゃんはいつ来るの?」

「もうそろそろだと思いますよ、出迎えの準備をして着替えてきたらどうでしょうか?」

「うん!そうするね」

アルフォンスはシエラちゃんと事前に打ち合わせをしてくれていたようで、私を驚かせるためにわざわざ決めてくれたみたい。

――なんだかさっきの気持ちが嘘みたい。

何でか分からないけどシエラちゃんがきてくれるんだよね。

私はシエラちゃんと会えるというだけで何故か張り切ってしまう。

すぐに自室に戻って着替えをして……

窓ガラスから外を眺めると、シエラちゃんが乗ってくるいつもの場所が見えた。

シエラちゃんと会うのはもう1ヶ月ぶり。

(――久々で緊張しちゃうかも……)

螺旋階段を下りて玄関に着くと、アルフォンスがいつものようにお出迎えをしていた。

「どうぞ、お入りくださいお二方」

「アルフォンス、ありがとね」

アルフォンスに一通り挨拶するシエラちゃん。

……気のせいかもしれないけど、なんだか前より大人っぽく見える。

そして私に気づくと、すぐに挨拶しに来てくれた。

「エルナ!お久しぶり!」

「うん、シエラちゃん久しぶり!」

「……ええとねエルナ、今日はアルフォンスとちょっと話をしに来たの」

(――シエラちゃんがアルフォンスと話……?)

何のことだろう……

疑問に思った私はシエラちゃんに聞いてみる。

「アルフォンスと話って……?」

「……うん、ちょっとね、政治とか情勢に詳しいアルフォンスに色々聞こうと思って」

――そうだった。

シエラちゃんは、もうエルスリール家の当主なんだ。

……政治の話とかするときに、何にも分からない私がいたらさすがに迷惑だよね。

私がそう思っているとシエラちゃんは口を開く。

「エルナも一緒にアルフォンスと勉強しようよ」

「――え?でも……私あんまり政治とかに詳しくないから……」

「大丈夫だよ、そのための勉強なんだし」

「ごめんねシエラちゃん、私外で休んでるから」

……どうせ私が行っても、二人に迷惑かけちゃうだけだよね。

それだったら外で休んでるほうがいいと思う。

「……エルナ、具合とか悪いの……?」

「ううん、そういうわけじゃないけど……ちょっと休んでようかなって」

「わかった、じゃあまたご飯のときに会おうね!」

「……うん」

そう言って私は、逃げるように外に出る。

――せっかくシエラちゃんと久しぶりに会えたのに……私って馬鹿。

次いつ会えるかも分からないのに、わざわざ断ってしまうなんて。

そんなことを考えながら、いつも休んでいるお庭のベンチに腰掛けた。


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