Section12
Sierra
――あれから一週間が経ったけれど、私の心はいまだに晴れないままだった。
お父様がなくなったということが信じられなくて、それがさらに暗殺かもしれないと知らされて……
マリエルやエルナを始めとして、いろんな人が私を慰めてくれたけど、まだ私は立ち直れていない。
(――時期当主には私がなるいきなりといわれても……お父様のようには務まらない……)
私はまだ、そんな名家のひとつを背負えるほど強くない。
ここ一週間、こんなことばかりを考えている。
これからどうすればいいのかも、よく分からないし……
そんなことを考えていると、自室のドアをノックする音が聞こえた。
「――お嬢様、お入りしてよろしいでしょうか?」
「うん、大丈夫だよマリエル」
どうやらマリエルがやってきたみたい。
最近マリエルも、私のお父様が亡くなられたことを心配しているように見える。
「お嬢様、ご気分はいかがですか……?」
「……大丈夫だよ、心配しないで」
「それは良かったです……それで、その――」
何か言おうとして、マリエルが口をつぐんだ。
こんなことは、よっぽどマリエルが何か悩んでいるときにしか言わないんだよね。
(――思ったより……心配かけちゃってる……)
「マリエル、どうしたの?」
「……こんなことを申し上げるのは大変失礼かもしれませんが……」
「いいよ、言ってみて」
「お嬢様のお父様が亡くなられたのは大変お悔やみ申し上げます……」
「うん、まだ私も気持ちの整理がついてなくて……どうすればいいか分からない」
――正直なところ、私はどうすればいいのだろう。
一週間経った今でも、まだ頭が混乱している。
……でも、マリエルは思ったよりもはっきりとその答えを言った。
「お嬢様はエルスリール家の次期当主になられる方です、今は厳しい時かもしれませんが……私はお嬢様のお力になれるようにといつも思っております」
――わかってる。
わかっているけれど、私はお父様ほど政治や家柄のことに詳しくない。
私がやっていけるほど……この家は軽くないんだ。
(――いっそのこと、エルナの家みたいに誰かに頼めば――)
私はそんなことを考えていた時だった。
「――お嬢様!」
不意に私の部屋に、マリエルの大きな声が響いた。
「お嬢様……私はお嬢様がこの家を継ぐのが一番良いことだと思うのです」
「確かに女性が家を継ぐというのはあまりよくあることではないですが……お嬢様はそれができる方だと私は思います」
――やっぱりマリエルには、ごまかせない……かな。
……そうだよね、私がやらないで誰がやるんだろう、誰に任せるつもりだったんだろう――
お母様に任せるわけにも行かないし、あまり良く知らない家の人に任せるわけにも行かない。
そしてマリエルに任せるなんてことは……絶対にできない。
「マリエル……私頑張ってみる」
「――お嬢様……はい!頑張りましょう!」
「うん、これからもよろしくね」
……なんだか、ちょっと自信が持てた気がする。
マリエルがいてくれれば――違う、みんながいてくれれば。
そうと決まれば、勉強しないとね。
私はすぐさまお父様のしてた仕事に追いつくために、早速政治にも詳しいマリエルから勉強することにした。




