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Entwined complexity  作者: emiru
過去編(第二章)
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37/109

Section12


Alfons

――今回の会議は先日のアルジェント主催のコンサートで起きたシエラ嬢の父であるモデラスト候暗殺の件に関してだった。

……モデラスト候が亡くなられたのは、本当に残念なことだと思う。

首謀者はアルジェントのモデラスト反対派とも、シュヴァルツの刺客とも言われているが、真相は定かではない。

モデラスト候の死はエルスリール家と深いつながりがあるラインブルク家にも大きく関わってくる。

エルスリール家の次の当主はシエラ嬢ということになるかもしれないが――あの子はまだ若い。

どちらにせよ、私の立ち場も複雑になっているのは事実だ。

「――先日の件に関してだが」

ヴァイスハルト伯が口を開く。

会議はいつもはヴァイスハルト伯のローゼンミュラー家、ヴェラート伯爵のルフェーブル家、モデラスト候のエルスリール家、そしてエルナお嬢様のラインブルク家で開かれる。

しかし、今日はエルスリール家は出席していない。

シエラ嬢は父が亡くなって相当ショックを受けている様子で、本来であれば次期当主として出席するはずだが……今日は流石に出席できなかったのだろう。

……ヴァイスハルト伯は続ける。

「モデラスト候は、私にとっても重要な人物であり、国家を支えてきた重臣だった。徹底して各方面で誰による犯行なのかを調べている」

「……そうですね、現段階ではシュヴァルツの刺客による犯行というものが有力ですが――」

ルフェーブル伯も私と同じ考えのようだ。

実際、シュヴァルツの最近の動向は怪しい点がたくさんあり、各国に刺客などを送っていてもおかしくはないような情勢ではある。

「しかし、俺が調べたときにはブロンシェル製の小物がでてきたとも聞いている、一貫してシュヴァルツの犯行ともいえないのではないだろうか」

……ブロンシェルの小物?

そんな事があるのだろうか、刺客の持っていた銃や服、その他の様々なところからシュヴァルツに関係するものが出てきているはずだ。

私は意見を二人の間に挟んだ。

「もし、今回の首謀者がシュヴァルツによるものだとすれば、我々は全面的にシュヴァルツを非難せざるを得ないでしょう」

二人とも納得した様子で、私の話を聞いてくれている。

やはり親しい人物だけあるが、それ以上に今回の問題は国家同士の問題だ。

私は話を続けていく。

「やはりここは、最悪の事態を備えてブロンシェルやミネラドロワと内通を図っておくのが良いと私は思います」

「それは確かにわかるが……逆にそれをシュヴァルツが察知したら口実になるだけではないか?」

口を挟んだヴァイスハルト伯はシュヴァルツの動きを良く見ている。

確かに、ここで過剰にシュヴァルツを刺激すれば戦争の口実を与えるだけになり、準備が出来ていない我々の国は一瞬にして落とされるだろう。

――これでは50年前と状況が一緒になってしまう。

50年前の戦争でも、不意打ちをされて我々の国は戦争に負けたのだ。

下手に早まりすぎるのも良くないかもしれない。

「そうですね、ヴァイスハルト伯がおっしゃるように、短絡的になりすぎるのも良くないとは思います」

「ただ、今回の件の第一の原因は、わが国の警備が薄いというのが原因でもあります」

私がそう言うと、ルフェーブル伯は言う。

「確かにそこはアルフォンス伯の仰る通りですね」

ルフェーブル伯も同じ意見のようだ。

私は話を続ける

「そこで、直接的にブロンシェルなどの国々と内通はとらなくても、国内の軍備と警備は増強する必要があるかと私は思います」

「……そうだな、その件については私から国王に報告しておこう」

ヴァイスハルト伯はそういうと立ち上がり、今回の会議を締めた。

なにはどうあれ、今後のシエラ嬢のことが心配だ。

――エルナお嬢様のように、長い間心を閉ざすようなことがなければいいのだが……

私は不安に思いながら会議室を後にした。


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