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Entwined complexity  作者: emiru
過去編(第二章)
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32/109

Section7


Alfons

「アルフォンス殿、こちらにどうぞ」

「ありがとうございます、ルフェーブル伯」

ヴェラート=ルフェーブル伯爵に案内されながら会議の席に着く。

いつも行われる会議だが、今日の内容は先日のシュヴァルツの動きについてのことだった。

シュヴァルツは最近のところミネラドロワへの干渉を積極化し始めている。

そのため、我が国アルジェントの立場を明確にしなければならない。

「アルフォンス殿はこの件についてはどうお考えなのですか?」

シエラ嬢の父親のモデラスト=エルスリール侯が私に聞いてくる。

この方とはラインブルク家の当主に私がなってから、かなり世話になっている人だ。

エルナお嬢様の両親が暗殺されたあと、その遺言で私がラインブルク家の当主の代理を務めるようになってから何かと教わったものだ。

それからというもの、エルスリール家とラインブルク家の関係は親密になった。

「私の考えとしては、シュヴァルツは近いうちに行動にでてくるかと思います」

「……というと?」

ヴェラート伯が首を傾げて私に聞く。

私は順を追いながらその理由について説明していくことにする。

「知っての通り、シュヴァルツは過去の戦争の後急速に領土を広げ、周辺国のラミールまでも併合しました」

「そしてブロンシェルとシュヴァルツの間にある工業国のミネラドロワは豊富な資源を有しています」

――言うまでもなく、現在のシュヴァルツはミネラドロワやアルジェントはともかくとして、ブロンシェルにまで大き脅威となっている。

さらにブロンシェルの北にあるシュヴァルツの同盟国のグリスも、政治的な混乱の中にはあるとは言え脅威であることに変わりはないだろう。

私は話を続けていく。

「ミネラドロワの立場としては、シュヴァルツもブロンシェルも立派な貿易相手国です」

「あまり争いごとはどちらも起こしたくはないでしょうが、シュヴァルツの君主であるディクタベルトは独裁者です」

私がここまで説明したところで、この会議の主催者でリーダーでもあるヴァイスハルト伯が口を開いた。

「――ディクタベルトの力を持ってすれば簡単に行動を起こせる、ということだな」

「……私はそう考えています」

「そうなると、まず同盟国のブロンシェルとの会議を開いた方がいいということなのでは?」

今までの話を聞いていたモデラスト候が口を挟んだ。

それに応じるようにヴェラート伯が答える。

「そうですね、できればミネラドロワも入れられると良いと思いますが……」

ほとんど全員の意見がまとまったところでヴァイスハルト伯が会議を締めくくる。

「今回の会議でシュヴァルツについての皆の意見は分かった、私の方から国王に取り合ってみよう」

我が国アルジェントは王政であり、本来の権限は全て王にあるはずであるが、現国王のヴァーミスト=ディングフェルダーは無能王と呼ばれているほど内政や外交問わず力を発揮していない。

……なので国の有力な諸侯が集まり、国王に助言するという形で国のバランスを保っている。

その中でも特に力を持っているのがヴァイスハルト伯のローゼンミュラー家をはじめとして、ヴェラート伯のルフェーブル家、シエラ嬢のエルスリール家、そしてエルナお嬢様のラインブルク家のの4家だ。

ただ、ラインブルク家に関してはエルナお嬢様が事実上の当主ではあるが、私がお嬢様に変わり補佐という形でこのように執政を行っている。

「――それでは今日はここまでにしましょうか」

ヴェラート伯が区切りをつけると私たちはそれに応じる。

今回の会議の内容が全て実行されれば、おそらくシュヴァルツとの関係悪化は避けられないだろう。

そうなれば最悪戦争にもなりかねない。

……戦争になればたくさんの犠牲が出る。

私はそんなことを心に留めながら会議室を後にした。

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