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エデンオブ・オーディール  作者: 斑鳩恭


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8/11

試合開始の宣言(ゲームスタート)

 大会当日。

 ギルド周辺には大勢の参加者が集まっていた。

 見えるだけでも100人以上はいる。これを今日一日だけで終わらせるらしい。

 勝ち負けは関係ない、と言ってはいたが一応トーナメント戦でやるらしい。

 賞金は金貨10,000枚。無駄遣いしなければ、生涯遊んで暮らせるほどの金額らしい。


「参加者の皆さんは、こちらに並んでくださーい!!」


 入口付近でハルナが参加者を整列させている。

 こう見ると、やっぱ人手不足だよなって感じる。


「ねぇ……あれって」「いやいや、似てるだけだろ」


 周りの参加者が俺を見てコソコソと話している。

 一応メイさんに「とりあえずオッドアイだけ隠しておきましょう」と言われ、カラコンを付けたけど結局容姿が似てるから意味がないんだよな。


「……っと、忘れてた忘れてた」


 ポケットから参加証を取り出す。

 これが無いと大会に参加できなくなるからな。

 別にフリとかじゃないからな?参加寸前に無くすとか言うフリじゃないからな?


 しっかりと参加証を握りしめ、列を進んでいく。

 人間、獣人(ビースト)、妖精族(エルフ)。 竜族(ドラゴニュート)まで参加している。

 皆、試合前の緊張やら興奮やらでザワザワしている。

 それくらい、この大会は新人にとって大切な大会なのだ。


「では次の列、入場してくださーい!!」


 ようやく自分の並んでいる列の番になる。

 参加証は――ちゃんと手に握られている。大丈夫。


「はい、参加証くださーい」


 俺はハルナに参加証を手渡す。

 これで参加は確定した。


「はい、次の方――」


 俺はギルドの入口を過ぎ、受付前に貼り出されたトーナメント表の前に立つ。

 さて、俺の順番は――2会場の7番目か。

 開会式があと30分後か。どうしよう、友達とか知り合いとかいないし。

 周りは仲間内で集まって駄弁ってるのに俺ときたら……


「ねぇ、あなた……」


 友達がいないことに悲しんでいると、背後から声をかけられる。

 振り向くとそこには、銀色の長髪を靡かせ、人を蔑むかのような冷ややかな目を持った女性――

 『白銀の魔女』カナデ・ミハマがいた。

 

「……白銀の魔女さんが、俺なんかに何の用ですか?」


「あなた……私と同じ匂いがする」


「匂い……ですか? すんすん……」


 俺は自分の身体の匂いを嗅ぐ。

 特に何の匂いもしないはずなんだが。それに白銀の魔女と同じ匂いとかするわけがないだろ。


「うん、同じ”強者”の匂い」


「強者の匂い……?」


「ちょっとカナデさん!!」


 カナデの名前を呼びながら、走ってくる青年。

 同じ国家(クラス)の人だろうか。


「はぁ……はぁ……この後、主将会議があるって言ったじゃないですか!!

 勝手にうろちょろされるとこま……置いてかないでくださ……どぅえぇぇぇぇ!!」


 カナデに説教をしていた青年が俺の姿を見て、後ろに吹っ飛ぶ。


「け……剣姫!『灼紅の剣姫』!! なんで!?」


「この人……剣姫じゃない、よ? 髪も目も違う……」


「えっ!? あ、ほんとだ。似た人か」


 いきなり落ち着くな。

 というか『白銀の魔女』はやっぱりわかってたか。

 

「でも、匂いは一緒。私と同じ強者の匂い。

 だから、うち、来る?」


「カナデさん!! 勧誘はダメですって!! それに彼は挨拶に来なかったでしょ!!」


「……じゃあ、大会が終わったら、私のところに来て?」


「カナデさん!!」


 あぁ、この青年も大変だな。

 なんだかお母さんみたいだ。


「すいません、お兄さん。失礼します!」


 青年はそう言ってカナデを連れて行く。

 

「おい、あの新人。『白銀の魔女』に話しかけられてたぞ?」


「しかもビビってねぇ。何者だ?アイツ」


「俺なんて目の前で「どいて」って言われてちびっちまったよ」


 周りでまたコソコソと話し始める参加者。

 俺を見る目がどんどんと”強者”へと変わっていく。

 そこにのしかかる”強者だから”というプレッシャー。

 ここで簡単に負けてしまえば、「なんだ、ただのハッタリか」となり、俺への注目が無くなってしまう。


 口元が緩む。

 あぁ、これだ。

 この”プレッシャー”が欲しかった。

 この”強者だから”っていう圧が欲しかった。


 ここで勝つことで俺は、更なる注目を浴びる。

 そして他の強者も俺に注目する。そうなるとどうなる?


 俺がどれだけ強いのか、力比べをしに来る。

 それを伸してこそ強者だ。


「開会式5分前となりました!! 皆さん、会場へ入ってくださーい!!」


「入ってくださーい」


 参加証を回収し終えたハルナが、今度は会場への案内を行う。

 それに次いでメイも案内を行う。

 

 さぁ、もうすぐだ。

 俺の強者への第一歩が。

 俺の最強伝説の序章が、もうすぐ始まろうとしている。


 ぞろぞろと会場へ入ってくる参加者。

 皆、気合は十分だ。互いが互いを睨み合い、「俺こそが強者だ」と目で訴えかけている。


「ごほん、あー、あー。マイクテストマイクテスト」


 壇上でハルナが音量チェックをしている。

 彼女はどれだけ働くんだ。過労で死ぬんじゃないのか?


「……よし!」


 チェックを終えたハルナが、元気よく、声高々に叫ぶ。


「それでは!! 第105回「新人力比べ大会」を開始させていただきます!!」


「皆さん、準備はいいですねっ?」

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