神からの贈り物
「さて、と」
ステータス画面を閉じ、別途に寝転がる。
この後は何をしようか。
外に出てぶらぶらするのもいいし、ギルドに行くのも悪くない。
「……そうだ、ギルドに行こう」
ギルドに行けば何かしら面白いことがあるだろう。
それに、クエストも受けれらる。
そうと決まれば、善は急げだ。
ベッドから起き上がり、部屋を出ようとしたそのとき。
コンコン。
再びドアをノックする音が聞こえた。
「ヒナタさーん、お届け物ですー!」
「ん? お届け物?」
ドアを開けると、一人の少年が木箱を抱えて立っていた。
「あ、ヒナタ・イツキさんですね。こちらお届け物です!」
「あ、ども」
少年から木箱を受け取る。
しかし、箱を確認してみると、宛名はおろか、送り主の名前すら書かれていなかった。
「あの、これって――」
そう聞こうとして顔を上げたときには、少年の姿はどこにもなかった。
「……え?」
周囲を見渡してみるが、人影一つ見当たらない。
……いや、ちょっと待って。
今の子、いつ帰ったんだ?
何の音も立てずにどうやって……
あまりにも突然の出来事に、思わず木箱を見下ろす。
送り主不明の荷物。
情報は一切無し。
……なんだか嫌な予感がする。
まさか、これを開けた瞬間に爆発とかしないよね?
そんなことを考えながらも、好奇心には勝てず、恐る恐る木箱のふたを開けた。
「……っ」
若干ビビりながらも、そぉーっと中を覗き込む。
そこに入っていたのは、一枚の手紙と見慣れない紀章だった。
「紀章……? なんで?」
紀章自体は、ゲームでもよく見かけるアイテムだ。
確か所属する組織とか団体を示すためのモノだったはず。
でも、俺のステータスには所属無しって表示されてたし……
「何かの間違いか」
ひとまず紀章を机の脇に置き、手紙を手に取る。
しかし、開いてみても中身は真っ白。
「……何も書いてないじゃん」
炙り出しとかそう言う類のモノでもなさそうだ。
送り主不明の荷物に、白紙の手紙。
意味が分からない。 誰かの悪戯か?
不思議に思いながら手紙を畳もうとしたそのときだった。
じわり。
白紙だったはずの紙に、黒い文字が浮かび上がってきた。
「えっ!?」
ヒナタは咄嗟に手紙を開き直す。
そこには、まるで最初から書かれていたかのように、整った文章が綴られていた。
『初めまして、ヒナタ・イツキ君。
いや、『灼紅の剣姫』と呼んだ方がいいかな?
僕の名前はレイア。
この世界を司る神だ。
あの世とこの世で彷徨っていた君の魂を、この世界に連れてきた張本人さ。
君、生前地球での生活に飽き飽きしていただろ?
だから、こうして転載させてあげたのさ。僕ってホント優しい神だよね。
しかも、特別な力まで授けてあげたんだ、これなら異世界生活も楽しいに違いない!
だから。
存分にこの世界を楽しむがいいよ。
この『幻想の十界』でね。
P.S. たまに君の元に遊びに行くからね!』
「……」
手紙を読み終えたヒナタは、しばらく無言で髪を見つめていた。
「……かみぃ?」
いや、まあ、転生してる時点で神様が存在すること自体は不思議じゃなかったけどさ。
でも、まさか手紙で済ませるとは思わないじゃん!?
なんかこう、異世界転生って言ったら、不思議な空間で神的存在と直接やり取りして――みたいなのを期待するじゃん。
「……俺を友達かなんかと勘違いしてないか?」
最後の一文。
たまに遊びに行くって、そんな気軽に会えていいのか?
神様だろ? この世界を司る。
「……まぁ、考えたってしょうがないかぁ」
ヒナタはそう呟き、手紙を丁寧に畳むと、棚の中へとしまった。
「さて、今度こそギルドに行こう」
木箱に残された紀章をポケットにしまい、ヒナタは部屋を後にした。




