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長らくお待たせいたしました。9か月ぶりに新話を書きました。書いてない期間も、たくさんの方々から声援をいただき、難産でしたが何とかかけました。
セリフがほとんどなので読みにくいかもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。
今となっては何がいけなかったのか、もうわからない。
雪那をさけたことなのか、感情に任せて襲ってしまったことなのか、守れなかったことなのか……もうわからないんだ。
もしかすると、始め方から間違えていたのかもしれない。
どれも、愛するが故の考えや行動だったはずなのに……。
すまない、雪那。
もう遅いかもしれないけど、それでもやっぱり俺は、愚かにも君のことを愛してるんだ―――。
***
雪那がいなくなって早いもので1週間が過ぎた。
俺は、最低限の執務意外は、自室に引きこもるようになっていた。
―――コンコン
「オルいるんでしょう。あけるわよ。」
―――キィ
了承の意も伝えないまま扉が空いた。
常ならば多少なりともとる、出迎えの姿勢を一切取らず、ソファーにうなだれた状態でオリビアを出迎えた。
「王妃の捜索度合の報告に来たわ。」
「…………ぃ……。」
「はぁ?聞こえないわよ。何?」
「……雪那はもうここにはいない……。」
それ以上の言葉は言わず、オリビアに雪那からの手紙を突き出した。
それを受け取り、オリビアは手紙の中身を確認する。
「ふぅーん、あんたフラれたんだ。」
「…………。」
「まぁ、当然よね。あんな扱い受けたら……。私だったら旦那を叩き出すわ。」
「……ぉ……たら……どぅ…………だ……。」
「何?聞こえないわ。」
「……お前ならばどうしたと言うんだ!傷つけないように、壊さないように、好きになってもらえるように、嫌われないように……。ただ……ただ、大切だったんだ。守りたかった。誰からだって、俺が傷つけるなら俺からだって守りたかった。なのに……!!!」
「なのになんなの?私は忠告したでしょう。『話をしなさい』と、冷たいことを言うようだけど、夫婦だって他人なのよ。思っているだけでは、何にも伝わらないわ。」
「……話なんてできなかった……。」
「できなかったなんて、ただの傲慢な言い訳よ。あんたはしなかったの。確かに、王妃様の態度に問題がなかったとは言えない。だけど、初めから話さなかったのはあんたよ、オル。」
「…………俺が何を話さなかったというんだ。」
「そうね、まずはあなたの思いかしら、次にアメリアやナーナ姫のこと。あなた話さなかったでしょう。」
「…………。」
「当事者ではない周囲からの情報では、余計な憶測や、主観が入って情報が捻じ曲がるわ。」
「…………。」
「……ねぇオル、私は優しいから教えてあげるわ。王妃様はね、あんたがアメリアを愛していると、愛し続けていると思っているのよ。」
「!!!なっ!!!」
「愛していなかったといえば、うそになるけど……。今のあんたならわかるでしょう。あれは友愛よ、恋情ではないわ。だけど、それを伝えなかった。まだ国になれないのに……とか言い訳していたようだけど、あんたの行動はただの保身よ。」
何も言えなかった。反論の余地すらなかった。
結局俺は自分の保身しか考えていなかったのか……。
思いを伝えなかったのは、かえって来なかったときに傷つきたくないから。
アメリアやナーナのことを伝えなかったのは、嫌われたくないから。
雪那を避けたのは、これ以上拒絶されたくなかったから。
「ハハハ……俺は自分のことしか考えてないな……。」
「……気付いたのなら、直しなさい。人間はやり直すことができる生き物よ。」
「……やり直せるだろうか?」
「そんなの私にはわからないわ。王妃様に今までのことを話して、土下座でもして謝りなさい。王妃様は優しいから、ゆるしてくれるかもしれないわ。ゆるしてくれなくても謝り続けなさい。それくらいの誠意が必要よ。」
「そうだな。それくらいの誠意は必要だな。俺はやっぱり雪那を愛しているから、愛してほしいから、すべてを伝えるよ。」
「まぁ、頑張んなさい。」
「それには、まず、雪那を探さないとな……。国中だって、世界中だって探して見せるさ。俺のそばにいてほしいから。」
「できうる限りの協力はするわ。」
「……ありがとう、オリビア。」
「……いいのよ。私とオルの仲でしょう。」
そういって、部屋から出て行ったオリビアに心の中で、もう一度『ありがとう』を告げた。
楽しんでいただけたでしょうか?次回もきっと難産です。日常の生活にも余裕がないので、なかなか書くことができないと思いますが、気長にお付き合いください。