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間章  桃園由良の献身 【パッションピンクのターン!】

更新すべきか…と葛藤込々で書いた番外3連話。はいヨーイスタートぉ(空耳

こういうことをするから捗らなくなるんだ。とは分かっちゃいるのだけれども

「う゛~……、まだぐるぐるする……」


「桃園、大丈夫か? というか、それ広所恐怖症とは症状違うモノじゃ……」


「細かいところはいいでしょう……、なんか、三半規管が馴染まない感じがするのよぅ……」


「……烏丸に報告しておいた方が良いんじゃないのか……?」



 カナエくんの言い分に心が叫ぶ。

 冗っっっ談じゃないわよ!!?

 これ以上アイツに借りを造ったら、何を要求されるか分かったモノじゃないわ!?


 しかし、



「~~っ……! ……うん、そのほうが、良いかも……」



 身体が健常では無いと、言葉にする力も湧かない。

 オノレ烏丸……、これがアンタのやり口か……!



「まあ、アイツなら報告しなくても、何処かでモニター出来ていそうな気はするけどな。そもそも、あのダンジョンだってアイツが監修してたはずだし」


「原理はわからないけど……、できないことがなさそう、っていうのはわかるわよね……」



 現在、私とカナエくんは、サヨ(小夜)やタクミ、烏丸やお姫ちゃんとは別の馬車で街道を進んでいる。

 道も車も牽引する動物も中世ヨーロッパレベル、というのがタクミやサヨの予測だったけど、予想と反して乗り心地は悪くない。

 カナエくんが言う話では、乗る時にうっすらと烏丸が『何か』で馬車を覆っているのを見た、という報告をタクミから貰っていたなどと言っていたので、これもまたアイツの『恩』なのだろう。


 返せない負債が貯まっていってるけど、心情とは別の部分が警鐘を鳴らすのだ。

 そもそもが、元の世界に帰れることを最初に言っておけば、私が王様唆して反逆させることも無かったんじゃないの……!?

 お姫ちゃんに手を出すようなロリ●ンが、いつタクミに手を出すか分かったモノじゃなかったわ……っ!!


 まあ件の天使(タクミ)はのほほんと胃痛の種(カラスマ)と平常付き合いしてるわけだけど。

 すごく、なっとくいかない。



「はぁ……、なんで上手くいかないのかしら……」


「顔付き合わせるたびに睨み合ってるからだろう……、それさえ辞めれば、タクだって普通に対応するぞ……?」


「あの子の『普通』ってメッチャ素っ気ない『塩対応』じゃないのよ……」



 それは私が望まないことだ。

 『感情』を向けられないことが空しいことだという事実を、カナエくんは未だに把握できていないのかもしれない。

 そういうところよ。



「……ふと気になったんだが、」



 不意に、馬車に同乗している女騎士のリヴィさんが口を開いた。

 彼女はキョトンとした顔で、カナエくんの膝枕でグロッキーな私を見ている。



「ユラはカナエ殿らを裏切った、と小耳に挟んだのだが。随分と仲が良さそうだな……?」



 その視線には微かな警戒心を感じられる。

 王宮での事件のことを言ってるのかしら。

 でもこっちだと1週間以上前の話になるんじゃなかった?



「もう敵対する理由も無いですし……。お互いに許したから、穿り返さなくても良いってだけで」



 カナエくんが、恐らくは年上になるであろう彼女に敬語で応えていた。


 私たちの中ではもう半年前の実感になるから、その前から学生として付き合ってきていたことを踏まえても仲間意識の方がずっと強い。

 内心でほんのついさっき王様唆したことを葛藤していた私が言えた話じゃないだろうけど、ダンジョンの中で過ごした関係と云うモノは変な蟠りも溶かしてくれた。

 ……これも返せない負債になる。だから嫌いだ、烏丸め。



「しかし、その際にカナエ殿は、確かキンジョーに騎士の忠誠のような真似をした、とも聞いたのだが」


「……なんでそう黒歴史を容易く明かすのかな」



 ……そういえばそうだった。

 苦い顔で独り言のように吐きだして、カナエくんは目を逸らす。


 でも、『その先』の進展がタクミからも無いみたいだから、カナエくんの中では『恥ずかしい真似をした』という認識しかないようでもある。

 其処でもう少し押せば何とかならないのかしら。

 ……変に男子としても見てないっぽいから、無理か……。



「というか、どの辺りまでどういう話が広まってるのよ。一端洗いざらい吐いちゃってよ」


「王宮内で騎士や王を唆して逆ハーレムを造った悪女が返り討ちに遭って魔王に凌辱された、という噂ならあるが」


「想定する限り大分ヤバァい……!」



 王宮戻ったら居場所がない(タイプ)だ……!

 凌辱(尻叩き)もまあ間違いでもないし否定の仕様も中々難しくない……!?



「これはもう王宮戻らない方が良いわね……! よしんば戻るとしても、私はもう前に出ない方が賢明だわ」


今日日(きょうび)の女子高生で『よしんば』とか中々聴かないな……。というか、ウチの女子らは何故率先してニートになろうとする……」



 引きこもり宣言をする私に、カナエくんは何処かで聞きかじった感もある科白で呆れている。

 ジッサイ出来ないことはどうしようもないのよ、だから仕方が無いのよ。


 此処まで私の心情を吐露してしまえば、それを踏まえた『誰か』ならば恐らくは想定外だと類察しているだろう。

 内心はネットの掲示板では無いから、改めて独白を晒す必要も無いのだが。

 ――どうにも身体の調子も戻らない私は、休息に兼ねて回顧する。

 私の立ち位置と行動規定を、目的に沿って検めるために。



 明け透けに言ってしまえば、『私』というキャラクタは『男子へ媚びを売る美少女』だ。

 他の女子からは受けは悪いけど、やれることをやって悪いこともないだろう、というのが個人的な意見だ。


 私が思うにコミュニケーションを取れることは一種の才能で、世の中ではそれで難儀を呑む人の方がずっと多い。

 多いのだから、『出来る人間』が牽引して行かないと、ヒトの群れはあっという間に烏合の衆になってしまう。

 孤独に、取りこぼされてしまう。

 群れの中で、縋る物も無しに。


 『好きなモノ』が『無い』人間は、可哀そうだ。

 『それのために』という感情が湧かないのだから、モチベーションがそもそも無い。

 そうして枯れて往くのは、死へ向かって逝くことと同じで、『やりたいこと』を『見つけようとする』下地すら育まれないのだ。


 だから私は『好かれる人間』を、偶像の様に指し示す。

 ヒトの群れには、象徴(アイコン)が不可欠なのだ。

 その相手を『どのようなタイプを』、と選ぶことは出来ないのだけれど。


 『出来る範囲』は限られているからだ。

 個人の見れる世界は側面的でしかなく、相手の内心を慮れる者は居るかもしれないが、読み切れるモノはそうは居ない。

 だから分かり易く通じ易い(タイプ)を晒して、引っ掛けられる取っ掛かりを明け透けに曝す。

 そうすると、それを辟易する『誰か』だって、当然いるというだけの話だ。


 勿論、出来る者誰も彼もに、それをやるべきだ、と強要する気も無い。

 やりたくも無いことをやれ、と私だって強いられているわけでもないのだから。

 好きなモノを好きだと主張することは、飽く迄も個人の自由だ。


 だから、私も好きなモノを好きだと、そのために生きて動くと主張する。

 私の好む、畏怖と衝撃のような象徴を見せてくれた彼女(タクミ)を守り、またその距離を剥がされないようにと。



「うーむ、見ると聞くとでは随分違う関係であったのだな。もっと早くに話しておくべきだったか……」


「そういえば……、この1週間はどんな感じだったんですか?」



 私たちに蟠りが無いことを改めて悟ったのか、然程の距離感も無い口調でリヴィさんが唸っていた。

 それに対して、横になっている私ではなくカナエくんが、少しばかり気になっていたであろう事情を探る。


 考えてみれば初対面にもほぼ近い立ち位置なので、彼女の感情がどの辺りを指しているのかまでは私たちは知らない。

 『良く判らない人』と今の今まで同行していた事実に、ちょっとだけ愕然とした。



「どんな感じ、と云われても、そうだな。姫様がとりあえずソラに甲斐甲斐しかった。あの方とアレとの関係は、見た通りに新婚ということで良いのだろうか……?」


「……なんだか掘り返すと問題が浮き上がりそうな話ですけど、聞きたいことは今はそっちじゃないです」



 ぽっと出のポット野郎がいきなり婚約すっ飛ばして王族の旦那に収まってれば、まあ配下の誰でも困惑しか無いわよね。

 これも考えてみれば普通に問題のある話だったわ。


 逆に考えると、そういう『先立っての(前提)』を持たない異世界人がヒロインとして収まる、謂わば逆ハー系攻略ゲームの主人公ってどうなのかしら。

 何の苦労も無しに王子に見初められたからといって、それでハッピーエンドに至れるとは、ちょっと想定が難しいわよね。

 シンデレラがガラスの靴を履いて義母やら義姉にザマァした『その後』で、国を治められるのかというと疑問が尽きないわ。



「俺が知りたいのは、リヴィさんとかの内心の方ですね。烏丸の事、どう思ってます?」



 ……あ、そっか。

 それくらいは必要なことだったわね。


 そもそも私が王城で暗躍したのも、烏丸が自分の立ち位置をほとんど顧みないで、傍若無人に振る舞ったことに危機感を覚えたからだった。

 それを『必要なことだ』と本人が前以って意識していたからこそ、私たちは連携を取れずに『あの結果』にオチ着いてしまった。


 これも考えてみれば、私に似ていたわ。

 自分の立場が『どうなるのか』を省みずに、目的のために動く。

 ……考えたくないけど、アレを嫌ってるのってもしかして同族嫌悪なのかしら……。


 カナエくんは、烏丸のことを『後輩として』、振る舞いから生じているであろう齟齬を解消するためにその質問を出したんだと思う。

 仲間の結束を強める、確かに必要な処置だったわね。



「私が、か? うーむ……」


「言葉にするのが難しいのなら、見方を変えるのはどうでしょう。リヴィさんから見て、他の人はどう思ってると思いますか?」



 腕を組んで、唸って悩みだしてしまった。

 改めて問われるとは思ってなかったのかも知れない。

 さっきとは別の意図がその行動には伺える。



「メイドたちは世話をする立場上、誰かと距離を置くわけにもいかないからな、ソラに特別な隔意を抱いていないことは確かだ。ローラは騎士団出身でもあるし、王配に準じることにも抵抗は無いだろう」


「リヴィさんは違うんですか?」


「私はこう見えて貴族の子女だ。カナエ殿に今更立場をどうのとは云わないが、姫様の周囲を整えることが本来の役割なのでな、アレの在り方に関しては、どうしても苦言が先立ってしまうことは見逃して貰えると助かる」



 ……あら? 自分の『生まれ』をアピールすることとは裏腹に、カナエくんには妙に遜ったスタンスで居るのね、このヒト。

 目を伏せて休んでいるから私のことは意識から外してるのかもしれないけど、居なかったらもっと自己主張してても可笑しくなさそうな……。

 見たことあるわこの態度、カナエくんのハーレム女子とおんなじ空気感だわ。



 タクミを簡単に言ってしまうと、『私以上のアイドル』だ。

 男子へ対するパフォーマンス、距離感、そうして出来上がっていたほぼ天然なキャラクタは、『男子受け』という面を重視すると私の構築した『外面』を容易く凌駕できる。

 彼女の容姿が天使みたいに可憐であることも要素として加味されているのだろうけど、男性とのコミュニケーションに異性的な壁が無いことが最大の要素だろう。

 タクミはモテる。

 それは喩えるならば、女子に餓えた男子校の中に男の娘が紛れているようなスタンスで。


 けれど、普通に女子からすれば女子だ。

 タクミが恐らくは無意識にやっているスタンスは、女子から見れば私以上に男子に媚びているようにも伺えただろう。

 そして、無意識で女子のハーレムを造っていたカナエくんは、そんなタクミのことが好きなのだ。

 改めて言うまでもないであろうけど、泥沼だ。


 私がタクミのことを好ましく思っているのは、第一に見た目が好きすぎる点。

 カナエくんから聴いた話だと、ドイツ人のお婆ちゃんが居る美人の多い秋田が母方の出身だとか。

 多分イメージ上での良い部分の血筋をこれでもかと掛け合わせて生まれたハイブリット美少女に値するんだろう。幼い頃には両親からは『天使』とか呼ばれていた話であったのだから、そのエピソードも納得の仕様だ。


 第二に好ましい点は、その性格。

 だけど、詳しいことまでは明け透けにしなくても問題無いだろう。

 誰かを好ましく思うことは、いつのまにかなっているものなのだから。



 だから、リヴィさんがカナエくんのことを何かしら思うのなら、高校のときみたいに何かしら暗躍する必要もあるのかしら。

 と、若干推察を重ねたところで、馬車が留まる。


 あとは知っての通り、烏丸が色々と始めたので、私も動くための準備としてリヴィさんのことを少しばかり伝えておいた。

 どう動くにしても、情報はあって問題のないものだろう。

 その直後に、エルフにホイホイ乗りに行った(直喩)ことはどうかとも思うけれど。


まあそんなわけで、

無理矢理ブッコんだのでは無く元からあった設定をちょいちょい暴露して征くお話の始まり始まり

話すタイミングおもいっくそ間違えてる感あるけど、今を逃したら後々もっと酷い場面に出張って全力スルーされそうなので挟み込んで置くね

まるでブックオブジエンド。月島さんのお陰だな!

(ヒトそれを責任転嫁と云う)

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