№027 野性のエルフが現れた! 【タイトルバレ】
【速報】総合評価が、減りました!
感想感謝です。催促したみたいで申し訳ねえです
状況は収束した。
最初は、野犬とか村人なんかが入り乱れてて、ボクの全体攻撃だと消し炭にしかならなそうだからどうしたモノかな、と懊悩していたのだけど。
「まあ、偶には仕事した方がそれっぽく見えますしね」
そんなことを呟いた烏丸くんが、パッチンと指を鳴らして全部終わった。
野犬の群れは個別に圧縮されて、塵ひとつ残らず蒸発していった。
なにいまの、こわくね?
「空間魔法みたいなものの応用です」
ああ、ちゃんと答える気は無いのね。
把握。
そしてカナちゃんは項垂れていた。
「指先ひとつで終了って……、躍り出た俺の立場は……」
近年稀に見る落ち込みようである。
無理も無い。
資質的に人助けを旨として、実際に助けられる能力があることを本人が把握しており、というか『そのように』と成長した節の在るカナちゃんだからこそ、救出できる実績を欲しがっていることは明白だ。
問題点はそうやって誰かを救うたびに恋愛フラグが乱立するという、ハーレムラノベの主人公みたいな働きを実行させてしまっている事態にあるのだけど……。
なんだかボクが変なことを語っていると思われている気がするけど、普通は誰かを助けたからと言ってそのままヒロインに惚れられるみたいな展開は無いからね?
事件を解決したからヒロインは回収される、みたいな因果逆転現象みたいな展開こそが稀であって、だからこそそれらはフィクションとして成立するんだよ。
……そう考えると烏丸くんがどうやってハーレム造ったのかという点よりも、カナちゃんがハーレムを自然成立させている方にこそ謎が多いな。
え? ほら、烏丸くんは目に見えるチートキャラだし? やり方はどうあれ実行力だけはもう知ってるし? あとは、……なんだか自分が造ったというよりは追い込まれている感がひしひしと……。
……話を戻そう。
カナちゃんがどうしてそんな主人公っぽい成長をしたのかはさておいて、英雄願望にも似た『解決したがり』の衝動を横から掻っ攫われたのだから落ち込んでいる。
言い分は悪いけど、解決しようとするその働きを備えるのは悪いことじゃあない。
正直、社会では能も実も無いのに上に立って解決のためへの足を引くような『大人』だっているって話だし、自己表現と主張が強いけど煽って置けば事態を解決してくれるNPCみたいに捉えておけば基本放置で問題点なんて無いからだ。
だから、カナちゃんの性質を矯正する必要なんて別段ないし、ぶっちゃけ落ち込んでいるカナちゃんを慰める必要も特に無かったり。
問題点はと言えば、襲われたかと思えば突然に助けが入ってきたという視点を持つこの村の方だ。
明らかな隠れ集落で、其処をカナちゃんの様な『わかりやすい』救助のみで終われれば、其処を橋渡しに話を聞くこともできたのだろうけれども。
……言っちゃあなんだけど『正体不明の戦力で事態を引き繰り返した妖術使い』、という目で烏丸くんが見られている可能性が無きにしも非ず。
どうすんだよ、この事態。
「なにはともあれ、自衛隊活動をやればどうですかね?」
「その言葉、好きだねぇ」
定型文みたいな科白で口火を切り、ひょいひょいと寸胴と野菜と肉を取り出してパチンパチンと指を鳴らしつつ火を熾して釜土を造り香辛料の香りが周囲へ漂い始める。
あっという間にカレーの準備が整った。
「働けメイドどもー、前に教えた通りのお仕事だぞー」
「あ、はいっ」「りょうかいですぅ」「かしこまっ」
ひとりなんだか妙な口調を使った子が居た気がする。
とはいえ、流石にボクらがダンジョンに籠っていた半年、こちらでは一週間であったか。
その間になんだかんだの意思疎通程度は出来上がっていたのか、ハイメちゃんウィティヒちゃんヒャルティちゃんが急かされて、肉と野菜を切り出して用意してあった飲料水を鍋で温め始めていた。
名前出さないと覚えて貰えなさそうだからね、仕方がない。
「というか、異世界にカレー持ち込んで大丈夫なんか……」
「カレーで大事に発展するのはエルフを脱がせるモノたち程度ですよ。大丈夫大丈夫へーきへーき」
「伏字にせーや」
口を挟むカイチョーと烏丸くんが良くわからない会話をしていた。
と、若干危機感を煽りそうな固有名詞を持ち出したところで、今更ながら気にすべき事柄がもうひとつあった気がする。
「あ、そうか、エルフか」
この村のひとたち、多分それだ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
炊き出しの準備は早々に整った。
『香辛料』というよりはより上位互換に当たる『スパイス』をインドへの大航海で確保もしてい無さそうな異世界なので、ちょいとやり過ぎなヤックデカルチャーにぶち当たりそうな予感もひしひしと感じたわけだけど。
幾許かの材料を引き渡して調理方法も教えて、と用意周到に前準備もメイドさんたちに伝え終えていたのか、先ほどから鍋をぐるぐるとおたまで混ぜる作業のみに徹している烏丸くんは比較的大人しかった。
っていうか旅への出発前にだけど、ご本人から家事不能との自己申告があったので割と納得の行動だ。
問題は米が無く、村人持ちの堅パンを千切って浸すくらいの食べ方しか教えられなかったことくらいだろうが、多分些末なモノだ。
そんな方々に「おかわりもあるぞ!」とルーをよそい続ける烏丸くん。
それ毒殺フラグじゃないですかヤダー、と慌てて顧みたところで、彼の背後に顎の突き出た壮年男性の姿を幻視する。
博多のクッキングダディのペルソナがご降臨されておられる……?
そんな(描写的に)ギリギリの攻防を見逃した後に、ボクは気になっていたことをシャーロット様へと尋ねることとしたわけである。
「それで、このひとたちってなんなんです?」
「っ、いつも突然に話を振りますね、キンジョー様は……」
ちなみに烏丸くんのことは名前だと教えてもらった『ソラさま』と呼ぶことに対して、ボクのみが苗字呼びのままなのは、きっと最初に名乗った時の感情が引き摺られているからなのだろう、きっと、おそらく、めいびー。
そうして深く考えないように悩まないようにと自分に言い聞かせないと、既に名前呼びとなっているカナちゃんやカイチョーやピンクとの格差をひしひしと感じて僻みを覚えてしまいそう。
な、泣いてねーし!
「いやぁ、まあ、色々と含みがありそうだなぁ、とは思ってますけども、答え難いと仰るならローラ先生に訊きますけども?」
「何故そこでローラなんだ、私でもいいだろう」
そう名乗りを上げるのは同じく女騎士のリヴィさん。
え、不安。
不満じゃなくて不安だ。
このひと、ローラさんと比べるとやや短気なので、説明キャラとして正しく機能できるのだろうか、とちょいと失礼な印象を持たせてくるのである。
あと口調が女騎士独特のモノの所為かいっしょに喋られると区別がつかない(理不尽な私怨。
「まあ、教えられるというなら聴きますけども」
「豪く上から目線で突いてくるな……。ともあれ、訊かば寄って目にも見よ」
本当に失礼な言い分で問うてみたところ、意外とすんなりと説明がハジマタ。
意外と気さくな人柄のご様子。
「我々が彼女らを良く思ってないのは、まあやはりエルフだからという点につくな。敵と呼ぶほどでは無いが、少々目に余る奴らだからな」
「評価がいきなり辛辣だー」
苦々しい貌でリヴィさんは彼女たちをちらりと見る。
もう完全に嫌われているとしか思えない印象だが、そんな彼女たちは初めて頂く異世界の料理に驚きと戸惑いと喜色で舌鼓を打っている。
あ、落ち込んでるカナちゃんに何人かが声を掛けてるな。
慰めてるのか、手助けに入ったことに感謝でもしてるのか、けっこう友好的に囲んでいる。
それにしても体型がエロい。おっと、つい本音が。
「何を嫌ってるのかが、ちょっとよく伝わらないんだけども……?」
「む、あの様子だけでもわからないか? カナエ殿をやたらと持ち上げてるだろう、アレは完全に雄として狙っているぞ」
そうなん?
……。ああ、よくよく見ると烏丸くんにも多いな。
カレーの魅力かと思ってたけど、ルーをよそって貰いながら結構な数のエルフが流し目を送ってる。
でも色を求めるなら先ずは木皿を手放すべきでは、というツッコミも、まあ烏丸くんが配膳係を続ける以上は変更は無理か。
「あまり助けにならなかったカナエ殿でもあの通りなのだ、実際に助けになったカラスマ殿がモルスカニスワーガティオの群れを消し去ったことを知ればもっと増えるぞ」
「ごめん、なんか今変な固有名詞が出て来たのがちょっと理解追い付かなかった。モルス、なんて?」
ほんとに悪いとは思ってるけど、烏丸くんに増えそうなハニトラよりも優先して思わず言葉を遮ってしまう。
ルビも見えなかったから素で通じるはずの言葉を流した、という感情かもしれない。
便利そうで不便だな、この異世界!
「? あの『魔獣』のことか? 『死して放浪する屍の魔犬』と銘打たれている。剣で斬っても這い廻り、頭を落としてもまだ動く。火で焼き払うくらいしか対処法が無かったのだが、この森ではそれも難しかったろうな」
「えー、そんなめんどくさい敵だったんだ……」
そんな最初のエンカウントがなんだかなあなあに終わってしまって申し訳ない。
文句があったら烏丸くんに言ってくれ。
「傷つけられたらゾンビになるとか、そんなエフェクト持っとる敵やったんか?」
「屍鬼? 聴き慣れない言葉だが、怪我を負わされた者は傷の治りが遅い上に熱を持って、最悪数日掛けて死に至る、くらいの後遺症が出るな」
「普通に迷惑なモンスターやな、怪我人居らんで良かったわ」
「カイチョーいつのまに来たの」
ほんとうにいつの間にか現れたカイチョーが、ふらりと話に混じってきていた。
っていうかいつの間にかシャーロット様が居ないんだけども……、あ、居た。
烏丸くんの後ろに控えて笑顔でエルフらを牽制してる。
でもほとんど通じてない。女子としての魅力に明らかな差があるってエルフに鼻で笑われてる。
ま、負けるなー! 若さでは負けてないぞー!
「いやぁ、生エルフやろ? 異文化交流しよー思うて怪我人治療兼ねて声掛けに行ったんやけども、結構すげなく追い返されてしもうてな。落ち込んでるカナエくんは由良ちんに任せて、私もカレー食おうかなと」「話を戻すが、少し前までは娼婦として各町に居たのだ。魔族が追放されてしばらくすると自然と見なくなったのが彼女らだが、森の方へ隠れ住んでいたとは」
「同時に喋らないでよ、情報量スゴイ」
意外にもファンタジーに興味津々だったカイチョーはさておいて、とりあえず今日の問題点は理解した。
そんな中で、ちょい疑問。
「こっちじゃあエルフって何かルビとか無いの? 森の人、とか」
「タッくん、それやとオランウータンにならへんか」
「ルビがどうのとかはよくわからないが……、彼女らを指す言葉は精々が『男食い』くらいだな。 女性しか生まれない種族らしくてな、男を誘うために、私たちの3倍は長く生きるのに、いつまでも若い身体と美貌を維持し続けられる。 あと乳がデカくて腰が細くて尻が太い。 そして自分から奴隷のように尻尾を振るかの如く擦り寄るんだ、男のみにな」
無自覚、だと……!?
さておき、すっごい童貞の理想過ぎる美女が集団で隠れ住んでいたってこと?
……なんで?
いや、ほんとになんでだ?
娼婦としてやっていたってことは、需要はあったってことだよね?
各町で男の数が減ったとかならわかるけど、そんな事態になっていたらそれこそ烏丸くんだって最初期にもっと歓迎されていただろうし。
女性に追い立てられた、としてもそれが上手く通じるとは思えない。
だって基本的に男日照りの集団だよ?
そんでもって男に擦り寄って好かれるために奴隷にまでなれる、って言われてる集団だよ?
女性が排除しようとしても、男性がそれを擁護するでしょ?
そうなれば分裂は必至で、そこをなんとかするのには為政者の決定権だけではどうしようもない話にしかならなくない?
結論として、彼女らは自分たちからこの森に隠れ住んでいるということになる。
……ほんとうに、いったいなんでだ?
理由が一切見えない不透明なまま、ボクらはいつの間にか村長と話を通していたローラさんに導かれる儘、彼女らの代表と会談を行う流れとなっていた。
ローラさん、マジで有能。
~指パッチン
これ正しくは指を鳴らすんじゃなくて『反動で親指の付け根を叩く音』みたいですね
~なにはともあれ
閑話休題みたいな定型文
俺も使いやすくて好きです
~エルフを●がせるものたち
最初は電撃メディアワークスで連載して完結したのですけど、作者の居場所が二転三転して最近2が完結したみたいです
カレーに並々ならぬ情熱が注がれる主人公が何故かシスコンへジョブチェンジした展開には賛否両論
~カレー(炊き出し)
炊き出しなら芋煮という連想もし掛けましたが芋煮エルフを他の作者の方がネタにしてしまっていたので泣く泣く諦めました(宣伝(無許可
~えっ、今日はおかわりしてもいいのかー!?
気になった方は検索検索ぅ!(ゲス顔
~博多のクッキングダディ
いったい誰岩さんなんだ…
~エルフ(エロフ)
独自設定
何か貶めたりとか意図を含ませたりとかはないです(無いです
~死して放浪する屍の魔犬
いわゆる一種のリビング(デッド)ドッグ 【ドラ●エ的エネミー表記】
なのだが、もうちょっと描写を詳しく入れるべきだったと後悔
これ多分伝わり切れてないわ
催促みたいで心苦しいですけど、でも感想は欲しいのです
このまま続けて面白く読んでいただけているのかが不安…




