客人 〜快川紹喜〜
火縄銃百丁はまた後日送ってくれるという事なので城へ引き返していた。
「行っただけでほとんど何もせずに帰っているぞ……」
これは本当に徒労であったと考えるべきだろう。
精神的にきついものがある。
「まぁ良いではないですか。こんなに草餅も貰えましたし!」
と左馬助は目を輝かせて言った。
確かに自分は和菓子が大好物であり、素直に嬉しい。
だけどそれとこれとは別だ!
納得いかないものはいかないのである。
「はぁ……仕方がないか」
過ぎたことはもうどうしようもなかった。
城に着くと客人が来ているようであった。
「誰だろう?」
人が来ることは聞いてなかったけどなぁ。
「只今、戻りました!」
と勢い良く襖を開けた。
「おい、十兵衛!客人が来ているのになんたる無礼な事を……」
これは非常にまずいことをしたようだ……
どす黒いオーラが叔父上から見えるようである。
「光安殿、気にせんで下さい。お久しぶりですね、十兵衛殿。昔と変わらず元気なのは良い事です。」
と発言したのは僧の格好をしていて、年は50程に見えるが掴みどころがないというのだろうか?
とても不思議な感じの人だ。
「申し訳ござらんが、叔父上と話したい事があるので少し席を外しても良いでしょうか?」
失礼なのは分かっているが取り敢えずこの人の事を聞いておかなかったらさらに失礼な事をしまいそうだ……
「別に構いませんよ。私が勝手にお邪魔していることが悪いのですから」
と気を遣いながら言ってくれた。
「早速で悪いのですが叔父上、あの人は誰ですか?」
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と言いますし、あの人が誰か純粋に気になった。
「覚えていないか、昔はよくお世話になったが……」
もちろん知りません。
「あの人は恵林寺で僧をしている快川紹喜殿だ。特に禅宗を修めているそうだ。後、武田家に招かれる程のお方だ」
やっぱり僧の人だったか。
禅宗って何だろう?よく分からないな……
「因みに明智家と同じ土岐氏の出身だ。遠い親戚といったところかな」
え?話を聞いているかぎりかなり凄い人だが本当に親戚なの?
自分の親戚は凄い人が多いな……
今の自分は一体何なのだろうか……と少し寂しい気持ちになった。




