# 第十六話 ## 「七十二歳の演説」
# 第十六話
## 「七十二歳の演説」
「無理だ!」
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中村誠一、七十二歳。
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人生最大級の叫びだった。
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「絶対無理!」
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「市長ですよ!?」
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「社長より偉いじゃないですか!」
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村上がため息をつく。
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「中村さん」
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「なんです」
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「昔、部長だったんですよね」
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「だった」
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「部下の前で話してましたよね」
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「話してた」
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「じゃあできます」
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「できません!」
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教室は大爆笑だった。
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だが。
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誠一の手は本当に震えていた。
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失敗したらどうしよう。
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うまく話せなかったら。
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学校がなくなったら。
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責任の重さがのしかかる。
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その日の放課後。
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誠一は校庭にいた。
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夕焼けがきれいだった。
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ふと。
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初めてこの学校へ来た日のことを思い出す。
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何もやる気がなかった。
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誰とも話したくなかった。
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ただ毎日が退屈だった。
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でも。
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今は違う。
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美月がいる。
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健太がいる。
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翔太がいる。
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和子がいる。
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村上がいる。
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黒川先生がいる。
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この場所で、
自分はもう一度笑えるようになった。
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その時だった。
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「誠一じい」
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振り返る。
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美月だった。
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「大丈夫?」
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「全然大丈夫じゃない」
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即答だった。
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美月は笑う。
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「知ってる」
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誠一も少し笑った。
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すると。
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美月が小さな紙を差し出した。
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「これ」
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見る。
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折り紙だった。
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開く。
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そこには、
たくさんの文字。
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『誠一じいならできる!』
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『応援してる!』
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『頑張れ!』
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一年一組全員のメッセージだった。
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誠一は言葉を失った。
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そして。
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少しだけ目が潤む。
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「ずるいな」
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「なにが?」
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「泣きそうになる」
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「泣いてもいいよ」
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美月は笑った。
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翌日。
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市役所。
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会議室。
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誠一は緊張で胃が痛かった。
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黒川先生。
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和子。
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村上。
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そして市長。
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大きな机を囲んで座っている。
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市長は穏やかな人だった。
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「今日はありがとうございます」
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誠一は立ち上がる。
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膝が震える。
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声も震える。
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だが。
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逃げなかった。
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「私は……」
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会議室が静かになる。
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「七十二歳です」
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市長がうなずく。
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「定年してから」
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「毎日が同じでした」
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「朝起きて」
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「テレビを見て」
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「昼寝して」
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「また寝る」
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少し笑いが起きる。
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誠一も笑った。
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「正直」
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「人生はもう終わったと思っていました」
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静寂。
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「でも違いました」
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「この学校が教えてくれました」
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「人は何歳になっても学べること」
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「友達ができること」
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「夢を持てること」
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「誰かを支えられること」
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誠一の声は少しずつ強くなる。
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「私はここで人生を取り戻しました」
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「いや」
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首を振る。
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「人生の続きを見つけました」
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黒川先生が目を潤ませる。
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「この学校がなくなったら」
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「寂しい人が増えます」
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「一人で悩む人が増えます」
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「笑顔を失う人が増えます」
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誠一は深く頭を下げた。
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「お願いします」
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「この学校を残してください」
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会議室は静まり返っていた。
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誰も話さない。
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数秒。
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いや、
数分にも感じた。
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そして。
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市長が静かに口を開く。
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「中村さん」
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誠一は顔を上げる。
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市長は微笑んでいた。
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「素晴らしいお話でした」
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誠一の心臓が跳ねる。
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「私も実は」
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市長は続けた。
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「父を亡くしてから元気のない母を見てきました」
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「だから分かります」
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「こういう場所の大切さが」
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誠一は息をのむ。
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市長はゆっくりうなずいた。
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そして言った。
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「正式決定ではありません」
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「ですが私は存続案を提案します」
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その瞬間。
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誠一は耳を疑った。
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和子が涙を流す。
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村上が顔を背ける。
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黒川先生は両手で口を押さえていた。
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学校はまだ残る。
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決定ではない。
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でも。
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未来がつながった。
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帰り道。
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誠一は空を見上げる。
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青空だった。
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そして思う。
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若い頃は、
成功とは出世することだと思っていた。
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でも今は違う。
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誰かのために立ち上がること。
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大切なものを守ろうとすること。
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それも立派な成功なんだ。
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七十二歳の一年生は、
またひとつ大人になっていた。
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しかし――
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学校へ戻ると、
黒川先生が満面の笑みで待っていた。
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嫌な予感がした。
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「みなさん!」
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「なんですか先生」
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「存続記念イベントをやります!」
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「嫌な予感しかしない!」
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教室は大爆笑に包まれた。
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### 次回
# 第十七話
## 「文化祭をやろう!」
学校存続記念として開催される初の文化祭!
詩を書く者。
歌う者。
料理を作る者。
そして誠一が挑戦するのは――まさかの演劇!?
笑いと感動の文化祭編、開幕!




