表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/17

# 第十七話 ## 「文化祭をやろう!」

# 第十七話


## 「文化祭をやろう!」


「文化祭を開催します!」


---


黒川先生は満面の笑みだった。


---


その笑顔を見た瞬間、


誠一は悟った。


---


これは逃げられない。


---


「先生」


---


「なんでしょう」


---


「存続記念なら紅白まんじゅうでいいと思います」


---


「却下です」


---


即答だった。


---


教室は笑いに包まれる。


---


「せっかく学校が残るんです」


---


黒川先生は続けた。


---


「地域のみなさんに感謝を伝えましょう」


---


その言葉に、


みんなの表情が変わる。


---


確かに。


---


学校が残るのは、


応援してくれた人たちのおかげでもあった。


---


「何やるの?」


---


美月が聞く。


---


「出し物です!」


---


嫌な予感がさらに強くなる。


---


数日後。


---


文化祭実行委員会。


---


一年一組は円になって座っていた。


---


「歌!」


健太。


---


「お化け屋敷!」


美月。


---


「静かな展示会」


村上。


---


「地味ですね」


和子。


---


大笑い。


---


意見はまとまらない。


---


すると。


---


翔太が小さく手を挙げた。


---


みんな驚く。


---


以前の翔太なら、


絶対に自分から発言しなかった。


---


「演劇……とか」


---


教室が静かになる。


---


「いいじゃん!」


---


美月が立ち上がる。


---


「やろう!」


---


「賛成!」


---


「面白そう!」


---


こうして。


---


一年一組の出し物は、


演劇に決まった。


---


だが。


---


問題があった。


---


「主役は誰?」


---


全員の視線が、


なぜか誠一に集まる。


---


「待て」


---


誠一が立ち上がる。


---


「嫌な予感しかしない」


---


美月が笑顔で言った。


---


「誠一じい!」


---


「やっぱりか!」


---


健太も叫ぶ。


---


「主役!」


---


「なんでだ!」


---


「一番主人公っぽい!」


---


「意味が分からん!」


---


教室は大爆笑だった。


---


そして。


---


満場一致。


---


主役・中村誠一。


---


決定。


---


「人生で初めての主演が七十二歳とは……」


---


誠一は天を仰いだ。


---


練習が始まる。


---


物語の内容は、


一年一組そのものだった。


---


年齢も性格も違う仲間たちが、


学校で出会う話。


---


つまり。


---


ほぼ実話である。


---


「台詞覚えられない……」


---


誠一は苦戦していた。


---


すると。


---


美月が言う。


---


「大丈夫!」


---


「何がだ」


---


「忘れたらアドリブ!」


---


「それは大丈夫じゃない!」


---


また大笑い。


---


しかし。


---


不思議だった。


---


みんなで作る時間が楽しい。


---


失敗しても笑う。


---


助け合う。


---


それだけで幸せだった。


---


そして文化祭当日。


---


校舎は人でいっぱいだった。


---


地域の人たち。


---


卒業生。


---


家族。


---


彩花と結菜の姿もあった。


---


誠一は緊張していた。


---


足が震える。


---


手も震える。


---


「誠一じい」


---


結菜が駆け寄る。


---


「頑張って!」


---


ランドセル型のキーホルダーを見せる。


---


「一年生だもんね!」


---


誠一は笑った。


---


「そうだったな」


---


開演時間。


---


幕が上がる。


---


ライトが当たる。


---


客席が見える。


---


たくさんの人。


---


昔なら逃げていたかもしれない。


---


でも。


---


今は違う。


---


誠一は一歩前へ出た。


---


そして台詞を言う。


---


「人生は終わったと思っていた」


---


静かな会場。


---


「でも違った」


---


「友達ができた」


---


「笑うことができた」


---


「もう一度夢を見ることができた」


---


その言葉は、


演劇の台詞だった。


---


でも。


---


誠一の本心でもあった。


---


客席には、


涙をぬぐう人もいた。


---


黒川先生も。


---


彩花も。


---


そして。


---


結菜も。


---


最後の台詞。


---


誠一はゆっくり言った。


---


「何歳になっても」


---


「人生は始められる」


---


会場が静まり返る。


---


そして――


---


大きな拍手。


---


大きな拍手。


---


いつまでも続く拍手。


---


誠一は仲間たちを見る。


---


美月。


---


健太。


---


翔太。


---


和子。


---


村上。


---


黒川先生。


---


みんな笑っていた。


---


誠一も笑った。


---


人生で一番、


温かい拍手だった。


---


そしてその夜。


---


文化祭は大成功で終わる。


---


だが。


---


帰り際。


---


黒川先生が一枚の紙を持って現れた。


---


「みなさん」


---


嫌な予感がした。


---


「来年の募集要項です!」


---


教室がざわつく。


---


「新しい一年生を募集します!」


---


その瞬間。


---


誠一たちは知らなかった。


---


来年、


とんでもない新入生がやって来ることを――。


---


### 次回


# 第十八話


## 「八十八歳の一年生」


新年度。


現れたのは学校史上最高齢の新入生。


しかも超頑固!


「わしは友達なんぞ作らん!」


果たして一年一組は、


新たな仲間を迎えられるのか――。


笑いと涙の新学期編、開幕!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ