体育授業のひととき
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香澄ちゃんから返事が来ないから授業よりスマホを気にしていた俺は、午前中最後の授業が体育のため体育館へと移動して着替えなければいけない。
「悠人、行こうぜ」
「あぁ・・」
秀平に誘われジャージを入れたバッグを持ち体育館へと急ぐ途中に秀平に帰りに売店に行かないかと誘われた。
「なぁ、帰りに売店行かないか?」
「おぃ、今言われても財布持って来てねーし・・出る前に誘ってくれよ?」
「ははっ・・たしかにな? でも、そう思ってそれなりに持って来てるから」
「貸してくれる?」
「もちろん」
体育館の狭い男子更衣室ジャージに着替え終えた生徒からグラウンドへと向かうと、体育教師の葛谷先生が仁王立ちして待っていた。
葛谷先生はラグビー経験者らしく、背丈は俺より低いけどゴツい体格なのに瞬足でパワーも凄いという噂で刃向かう男子生徒は皆無だ。
「おーい! 男子ぃ〜! お前ら3分遅刻だから、今から3000メートル走だ!」
集まり並んでいる途中で葛谷先生からの死刑宣告に俺たち男子一同は、一斉に膝から崩れ落ちHPはゼロ近くになる。
「・・同じく女子は、男子全員が完走するまで柔軟体操と応援してやってくれ」
男女でこんなに差があるのかと思いながらも文句を一つ溢してしまうと、更なる地獄が待っているため無言の男子集団はスタートラインに並び待つ。
「どうした男子諸君・・お前らは大人しいな? さっきの授業で元気いっぱいだった1年には5000メートル走にしてやったのに」
無言のまま視線を葛谷先生に向けることなく合図をただ待っていると、ホイッスルが鳴り響き3000メートル走が始まった。
1周300メートルだから10周も走る必要があるため道のりが長い・・同じ景色を見ていると余計にそう感じる自分がいる。
少し離れた場所で柔軟運動をしている女子達は、他人事のように適当に応援している姿の離れた場所で、雨宮と一条が制服姿で座っている姿を見るも特に2人からも反応は無い。
最初から先頭集団で走る気が無い俺は、息が上がらない程度のジョグペースを保ち最後尾に近い位置にいる。
女子達の応援も次第に先頭争いをしているイケメン男子3人に向けているため、周回遅れにされる瞬間だけ俺の方にも声援が届いている錯覚に感じていた。
「はっ・・はっ・・あと2周か?」
「・・・・・・がんばれ、悠人」
先にゴールするイケメン達の背中へと視線を向けている中で、不意に応援されてしまった俺は驚き声がした方に視線を向けると、ちょうど理香の前を通り過ぎるタイミングだった。
振り向き応えるタイミングを失っていたため、とりあえず右手を軽く上げて左右に振るだけの仕草で応えた。
「らすとぉ〜」
背後から聞こえる理香の声援がなんか嬉しく感じるも、たぶんクラス男子達へと向けた言葉だろうと思いながらゴールラインを走り抜けた。
「お疲れ、秀平・・お前、足がヤバいくらい震えてないか?」
「・・マジで死ぬ・・もう筋肉痛で休みかも」
「これ以上休んだら、出席日数足りないんじゃねーか?」
「クソッ・・サボれねーじゃん、俺は」
男子数人がゾンビ化してしまい予定していた授業ができないと、今時の男達の低体力化が許せんと葛谷先生は嘆いている。
その一方で女子の方は俺達の3000メートル走が終わると同時にバレーコートへと移動して、楽しそうにソフトバレーをし始める。
すぐには動けない男子達の休憩を兼ねて、試合形式に始まるソフトバレーの応援をして決着がつくと次は男子の試合となる。
入れ替わるようにコートに入る男子は主にイケメンの陽キャグループで、コートを囲むように座る女子に良いところを見せようと意気込んでいる。
「秀平、隠キャの俺達に出番ないよな?」
「もちろんさ。このまま、ボールボーイに専念しようぜ? 悠人」
「賛成・・」
体育授業なの陽キャ達同士で盛り上がるソフトバレーを眺めながら、コート外に出るボールを拾い無言で手渡す役目を俺と秀平で頑張った。
疲労が蓄積した足にストップ&ゴーでボール拾いは、なかなかの苦行で心が折れる前になんとか葛谷先生から授業を終わる救いの言葉が発せられ俺と秀平は苦行から解放されたのだった・・・・。
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