忘れかけてた彼女
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「秀平、久しぶり・・痩せたか?」
「よっ・・悠人。まぁ、痩せたっていうか、やつれた?って感じ」
「そっか・・」
秀平の肩を軽く叩きとりあえずカバンを自分の席に置いてから、再び秀平の席へと向かう。
「・・悠人が俺の席に来るなんて、初めてだよな?」
「・・・・そうかも? あの2人がいないし」
「あ〜孕んだ2人がね?」
「そうそう。それにしても、よく2人を目撃したよな?」
秀平の家の場所を知らないけど、あの2人が別々の病院から出て来るタイミングに遭遇したのは驚いた。
「普通にたまたまだから。ずっと部屋にいて気分転換で家から出てさ、適当にフラついてたら見て悠人に連絡した・・・・まぁ、こんなに席が近くなかったら気付かなかったかも」
秀平の席から近い2人の席は無人で、朝のSHRが始まる時間が近づいて来ても姿を見せないため今日は欠席なんだろう・・それと、クラスには2人が妊娠した話題が聞こえて来るからにはもう2学年生には知られているだろう。
「・・上坂くん、田所くん2人に先生はお話があります」
SHRが終わり教室を出る前の早川先生に名前を呼ばれ廊下に出るよう手招きされる。
「2人は放課後、職員室に来なさい」
「先生、俺と秀平は何かしましたか?」
早川先生は少し考える素振りを見せて、間を置いてから答えた。
「・・何もしていないと思うわ。ただ、雨宮さんと一条さん2人の噂話が校内で広まってるのを耳にしたの」
「あ〜アレのことですね、先生」
「上坂くん、しっているの?」
「噂話程度かもしれませんけど」
「そう・・田所くんは?」
「自分は直接見たっていうか・・目撃したって感じです」
「どういう意味なの?」
早川先生は俺より秀平の方が何か知っていると判断したようで、視線は秀平に向けられる。
「先生、見たんですよ俺・・・・学校を休んでいるときに」
秀平は雨宮と一条が病院から母親と出て来た場面を見たと言い、細かなことは先生に伏せ話している。
「・・・・そうなのね。そのことを話したのは誰?」
「上坂だけです。それを教室の席で話したからクラスの誰かに聞かれていたのかもしれません」
「はぁ・・そうなると、噂話の出どころはうちのクラスになるのね・・・・あとは、2人の相手が誰かってことね」
「先生、噂話が広がったのは俺のせいじゃありませんからね? ただ、病院から出て来たのを上坂に話しただけですから」
「わかっているわ・・」
秀平が噂話を広めた原因という疑いが持たれていないことに、俺は告げる。
「でも、本当は先生ならもう勘付いているんじゃないですか?」
「上坂くん?」
早川先生は1年の林間学校で起きた一哉と一条の情事を発見した本人だから、一条の相手の男が誰かなのかは予想しているはずだ。
ただ、雨宮の方も一哉だとは思ってもいないだろうけど。
「先生、2人の相手は木下一哉ですからね?」
「はぁ!!」
朝の廊下に響き渡る早川先生の声に、廊下にいたせいとたちの視線を一気に集めてしまった。
「こっ声大きいですよ、先生・・」
「あっ・・」
自分の失態に気が付き周囲を見渡す先生は、足を止め見ていた生徒達に教室に戻り授業の準備をしなさいと告げて生徒達を廊下から教室へと戻す。
「俺達も、戻ります」
「わかりました。2人も戻りなさい」
まだ何か聞きたそう見える早川先生は、ため息をついてから踵を返し職員室の方へと歩き去るの見送りながら秀平と教室へと戻り、午前中の授業を乗り越え昼休みになると教室前の廊下に香澄ちゃんが姿を見せた。
「悠人先輩?」
「・・待ってて」
席を立ち教室と廊下の間に見えない境界線があるかのように香澄ちゃんは顔を覗かせるも、それ以上入ってくることなく廊下で待っていてくれている。
昼休みはどこに行っても生徒達が仲良しグループで昼食を食べていたり、ボッチ様が人目を避けるかのような場所を確保しているため、なかなか落ち着く場所が見当たらず彷徨う。
「悠人先輩、もう売店前のベンチでも良いですよ?」
「そう? なんか、ゴメンね」
結局は昼休みのスタート地点と言っても良いぐらいの場所へと戻ると、大勢居た売店には生徒の姿はなく逆に静かな場所だった。
「時間的に正解だったみたいですね?」
「そうだね・・ずっと賑やかな場所だと俺は思っていたんだけど、全然違うんだね〜」
売店のおばちゃんは昼休みと共に一気に押し寄せる生徒達との戦いが落ち着いているためなのか、一休みしながらたまに来る生徒に応対している。
「悠人先輩」
「・・なに?」
売店のおばちゃんを見ていた俺は、香澄ちゃんの呼びかけの反応が少し遅れてしまった。
「・・咲希・・その、同級の皆瀬さんが最近学校を休みがちらしいんです」
「・・・・・・」
久しぶりに聞いた彼女の名前に俺はどう反応したら良いかわからず、黙ったまま香澄ちゃんの横顔を見るだけしかできずにいる。
「クラスが違うので悠人先輩と昼休みのあの日以来から話すこともなくて、同じクラスの仲のいい子から休み明けに教えてもらったんです」
「そうなんだ、休みがちね・・俺もあの日から何回かは見かけたけど話すことないままで、いつの間にか姿を見なくなっていたな・・」
「学年が違うと、学校でも会わないものなのですね」
「そだね・・もしかしたら、向こうも俺のことを避けていたかもだし」
香澄ちゃんに言われて、ふと彼女のトレードマークだったポニーテールを思い出すも今は遠い思い出になったなと思うも、今更だなと思いながら手に持つ菓子パンを食べたのだった・・・・。
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