2人への祝福
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「平日だからって休みにしてくれよなー」
ゴールデンウィークの間にある平日も休みにして長い連休にしてくれたら良いのにと、愚痴をこぼしながら起きた俺は珍しく姉さんがいないためのんびりと学校に行く支度をして家を出る。
通学途中で見かける同じ制服の高校生の数は普段より少ないなと思い、いつもの時間に教室へと入るとクラスの半分もクラスメイトは居なかった。
「・・・・」
学級閉鎖間近なと思いたくなるぐらいに過疎化した教室は物静かで、なぜか俺の席近くの子が欠席が多くこのまま座るとポツンと残された自分に姿が目に浮かぶも座るしか選択肢は無い・・。
そろそろ担任の早川先生が来る時間だなとスマホ画面の時計を見て、ポケットにしまい顔を上げたところで連休前に休んでいた雨宮と一条がギリギリの時間に登校して来たのだ。
あの2人が来ても出席人数は20人も届かず、きっと休んだクラスメイト達は明日も休んで連休を謳歌してんだろうなと呟き窓の外に顔を向け、雲ひとつない青空を眺めながら雨が降れば良いのにと念を送った。
「あのね・・・・・ねぇ?」
教室の外に意識を持っていっていた俺は、久しぶりに聞いた彼女の声を耳が拾わず気付かなかったらしく2回目の呼び掛けで何かを感じ、ふと前に意識を戻す・・。
「・・・・」
「「・・・・」」
席の前には俺を見るクラスメイトの雨宮が立ち、その横に一条も居る。
「私と葉月ちゃんね・・」
何も聞いてないのに、突然話しかける雨宮の言葉は開かれたドアの音で遮られ2人は音がした方へ顔を向ける。
ガラッと音をたてて教室に入って来たのは担任の早川先生で、雨宮はこれから始まるSHRに何かを諦めたようだ。
「ぅぅ・・またあとで。ゴメン」
俺に何が言いたいのだろうと思いながら、自分の席に戻って行く2人を見てから教壇に立つ早川先生へと顔を向け意識を向ける。
朝のSHRはたいした内容もなく、ただ早川先生もこの平日が無駄な仕事を与えると文句を言いながら出席を確認すると、今日は特に無いと言い残し教室から出て行く。
最短で終わった朝のSHRのため、1時限までの余った時間を仲良しグループのクラスメイト達は集まり雑談を始める。
俺は親友の秀平がいないためポツンといつものようにボッチで過ごしていたら、雨宮と一条がまだ用事があるようで仲良く俺の方へ来る・・・・今更コイツらは、なんなんだと乱れる感情に耐えながら顔だけ向けた。
「・・・・」
「あのね・・」
もう話すのも面倒な俺はコクリとだけ頷き、小さく呟く雨宮を見る。
「・・・・木下くん、見てないかな?」
まさかの木下くん見てないかな発言に俺を舐めてるのかと言いたくなるも、あの日に救急車で運ばれてどうなったか知らない。
2人は自分達が一哉の子を同時に妊娠しているから、音信不通のクズの居所を手当たり次第聞きまくっていて最後に俺の所へ来たらしい。
「・・知らない。1年生に聞いたら?」
「聞いたけど、知らないって言われて・・もう誰に聞いても知らないって・・・・」
「だから知らねーよ。もうアイツと関わりたくも無い俺に聞いても、結果はわかってただろ?」
「「 ・・・・ 」」
2人は黙ったまま俺に哀しそうな表情を見せて・・・・まるで被害者ヅラする2人に俺は溜息をついてから、優しく言葉をかける。
「ゴメン、言い過ぎたよ。結衣、葉月・・」
拒絶していた俺が突然急に関係が壊れる前に呼んでいた名前呼びの驚き目を見開く反応をした。それを見ながら、俺は告げる。
この教室にいる何も知らないクラスメイト達に聞こえるような声で・・・・。
「結衣と葉月のお腹には赤ちゃんがいるんだから、無理して学校に来なくても良いんじゃないか? パパの木下一哉は学校を休んでることなんだしさ!?」
「なっ・・なんで??」
「どぅ・・して??」
表情が引き攣る2人に俺は、思ったことをそのまま吐き出す。
「だって、2人のおめでたを幼馴染の俺がお祝いしないわけにはいかないじゃん?」
そう吐き捨てながら俺は席を立ち、最高の面を被った笑顔を見せると、まるで陽の当たらない場所へ逃げ込むかのように2人は教室から駆け出して行ってしまった。
その日の2人は教室に戻って来ることなく終わり次の日も学校に来なかったせいなのか、2人が妊娠したという情報が学校中を駆け巡り広まったまま5月の連休へ突入したのだった・・・・。
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