アン砦付近の国境
「やはり、帝国軍も様子見、上手くいけば儲け物という程度の人数で国境に来ていましたね」
モリエールが言葉を続ける。
「しかし、魔術師団員だけで。もしも戦闘になってしまったら、騎士団員が居ないとしんどくないですか」
「それはその通りで。普通ならば、近接戦闘を担う騎士団員が居てこそ、我ら魔術師団員は力を発揮できるものです。しかし、今のタイミングで騎士団員と連携するのは難しい……」
「味方である確証が得られないからですか」
「そうですね。戦闘中に敵方となって帝国軍と共に我らを攻撃する可能性。それを疑いながらでは、前線に立つことができません」
「でもそれは、先ほどのように本当の国境線のところだけでなく、砦の中もそうでは?」
「それはその通りで。息苦しいのもあって、言い訳として国境に出てきたのもあります」
「でも10人ほどは留守番にされたのですか?」
「なぜそれを!はい。騎乗があまり得意ではないものや、事務の方が得意なものは留守番に……で、なぜそのことを」
「……その方々と思われるローブ姿の人たちが、砦の牢屋に」
「!なぜそのことをご存じなのかは置いておいて、そのようなことに……」
話をしているモリエールだけでなく、それを横で聞いていた他の魔術師団員たちも動揺している。
「こちらのモンテリオンの様子を確認に来たのです。それより先に、ということでアンの砦を遠目に見ていると、ローブ姿の人が居なかったので、色々と調査させていただいたのです」
「そうですか……」
モリエールはいったんの話の区切りになったところで、少し引き返して国境向こうにいる帝国軍の様子を確認する。
「本当にあの場所で待機するつもりのようですね……」




