アンの砦の様子3
「仕方がない。戻って上役に確認して貰おうか。それまで我々は国境内で待機することにする」
帝国側の佐官クラスと思われる、先ほどからモリエール少佐と話していた男が、少し引いた発言を行う。
「国境線からは少し離れたところで待機して貰えると助かる。その間に、我々も念のために事情を確認しておく」
そう言ってモリエール少佐は仲間達と国境から離れて、ジェロたちがいる方に近づいてくる。
帝国軍も国境線から少し下がっていくようであり、その帝国軍から見えない場所に移動して、モリエールに声をかける。
「モリエール少佐」
「え?誰だ!あ、テルガニ侯爵。このようなところで。驚かさないでくださいよ」
「こんなタイミングで申し訳ありません。一触即発なところでしたね」
「いまここにいらしたということは、事情はご存じということですよね」
さらに国境から離れたところで、岩陰に隠れてジェロたちと話を続けるモリエール。
「ロゾニアの街でカステル中佐から、モンテリオンが帝都と呼ばれるようになったことなどを伺いました」
いまここにいる魔術師団員の中にも、皇弟派に肩入れする者がいるかもしれないので、当たり障りのない表現にしておく。
「ははは。そのような配慮は不要ですよ。あの砦にいた魔術師団員たちは、結局のところ愛国民であり、皇都の者たちの言動に不満があっても、皇弟派になることはありませんよ」
「はぁ」
「だからこそ、このタイミングで帝国が余計なことをしないように、国境線に出てきたのですから」




