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手紙を魔法で空に飛ばしていたら、天然な第二王子の目にとまり、まんまと振り回される結果になりました。  作者: らいあ


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第13話 -やきもちを焼くのはやめてください-

「それで、シエルは大丈夫だったのか。」


王宮に到着し、アレル殿下に報告すると第一に発された言葉はそれだった。


「こちらに着き次第、医局長の診断を受けましたが何もないとのことでした。」


私の代わりにノルさんが答える。

大丈夫だという私の意見は無視し、私は簡易的な検査を受けさせられた。

何なら、そっちの方が疲れたくらいだ。


「まずは、フレイジア統括長から話を聞くとするか。その後に、グレラードの統括長からの話を聞きそこの問題を解決しよう。


そのあとに、その商人の方だな。


ノル、両街の統括長をここに。

フレイジア統括長の方は、魔石についても調べる必要があるから魔力封じの間に。」


「承知いたしました。」


「セラフ、他の街に商人が来ていないかの確認と、国への被害、商人の居場所の特定を急げ。

国王への報告は、もっと情報が掴めてからにしたい。」


「御意。」


指示されて2人はすぐさま、部下に命じ動き始めた。

その光景を、なんだか別世界の何かのように見つめる。


「リンドル・サリア、トキ・リヴァエル」


2人の名を呼ぶ殿下。

微かに身を揺らす2人。


「お前らには国を危険にさらす状況を未然に防いだということで、栄誉を称えたいと言いたいところだが、やり方が悪かったな。」


その言葉に驚いたように顔を上げるサリア。


「栄誉だなんてそんな!ぼくっ――私は、自身の為だけに動き、ルシエル・ブルーを脅し、攫いました。

どのような罰でも受ける所存でございます。」

「いや!殿下!!サリアさんは、我々を守るべく動きました!シエルを見つけ行動したのは俺です!」


きっと、この2人は…いや、魔石に囚われる前のソウガさんはいい人なのだろう。

でなければ、こんな互いをかばい合う光景は見られない。


ソウガさんを救いたい、それが一番の願いなのだろう。


「アレル殿下。友人として、口をはさみたいのですがお許しいただけますか?」

「ああ」

「私、彼らに連れ去られました。」

「ああ」

「でも、その先でお茶を出していただきました。」

「…ああ」

「なので、連れ去られたというわけでは無く少し強引にお茶に誘われただけだったようです。」

「………。」「はぁ?!」「はぁ?!」


私の言葉を静かに聞いてくれ、じっと見つめるアレル殿下と

なんだこいつと言いたげに、こちらを見てくる2人。


「殿下は、お茶のお誘いをしただけの人間を罰するおつもりで?

別に、他の街に行き来してはいけない決まりや他の街の方とお茶をしてはいけない決まりはありませんでしたよね?」

「――無いな。」


殿下の隣で、私の言葉に頭を抱えるノルさんと、ニコニコと笑ってくれているセラフさんがいるが気にしない。


「なので、殿下がこの2人に何か罰を与えるのはやめてください。


今後この2人の勇気ある行動はこの国を護る結果になる事でしょう。

しかし、脅されて攫われたあの瞬間は怖かったので、私から罰を与える許可をいただきたいです。」


「それは、ここに座る俺に対して言っているのか?」


彼が座るそこは、ルヴァール王国 第二王子 アレル・ルヴァール殿下が座るべき場所。

そんな人にとんでもないことを言っている自覚は十分している。

だけど――――――。


「初めに、友人として口をはさみたいと申し上げましたが?」

「ふっ、そうだったな。」


そう笑うと殿下は、その席から立ち上がり私の前にやってくる。


「これで、ただの友人だ。シエルの申出を許可しよう。」

「ありがとうございます。アレル殿下。」

「…なぁ。」


突然不満そうな顔になる殿下。


「なんです?」

「友人なのに殿下は、おかしくないか?」

「は?」

「アレルでいい」

「馬鹿ですか?」

「何がだ」

「国の第二王子を呼び捨てする人間がどこにいます?!」

「今から、ここにいるだろ」

「馬鹿ですか?!」

「だから何がだ」

「なんなんですか?!この人!」


思わずノルさんに助けを求める。

しかし、ノルさんも半ばあきらめた様に首を左右に振り「アレル殿下です」と答えるだけ。


「何が不満だ、友人として呼び方を変えろと言ってるだけだ」

「嫌です。」

「即答するなよ。」

「あぁ!!もう!この話はあとにしましょう!

とりあえず、私がこの2人に罰を与えていいんですね?!」

「…………。」

「いいんですね!」

「…ああ。」


本当に、なんなんだこの人は。


「はぁ、サリアにリヴァエル」

「はい」「はい」


よくわからない状況に困惑しながらも答えてくれる2人。


「私の行きつけのカフェに付き合ってください」


私の言葉に、部屋の音が消えた。

多分、みんなの頭の中で私の言葉を受け入れられていないのだろう。


私自身、よくわかっていない。


「あ、の。シエル?何言ってるの?」


余りに素直な反応を見せるサリアに思わず笑えて来る。


「貴方が出してくれたお茶も美味しかったけど、どうせならちゃんとしたところで美味しいの食べたいじゃない?

だから、ウエンティスで一番のお気に入りのカフェを紹介するからそこで、私が満足するまでお茶して、私が満足するまで美味しいものを食べさせて。


同じお店で雑貨屋さんもやっていてね、そこで新しいマグカップを買う予定だったからそれも買って?」


全部説明してもなお、誰も理解してくれていない様子だ。

――――ただ一人を除いて。


「その店はどこにある?」

「はぁ、なんでここで殿下が口をはさんでくるんです?」

「俺も行ってみたい」

「…は?」

「美味しいものがあるんだろ?俺も食べたい。」


「あっははははは!!!」


突然響き渡る笑い声。


見ると、セラフさんが笑っている。

その隣には笑いを堪えてプルプルと震えるロイド局長の姿も。


「もう私は知りませんからね?好きにしてください。」


ノルさんにも放っておかれた。


「ああ!もう!サリアもリヴァエルもわかったね?!」

「う、うん。」「あぁ、」


たぶん理解はしていないだろうけどね!その反応!


「なぁ、」

「なんです!」


2人を見ていた視線を殿下に向けると、まだ何か不満げにこちらを見ている。


「俺も行くからな」

「どこに」

「カフェ」

「行かない!」

「なんで!」

「行くのは勝手ですけど、私たち2人以外の護衛はつけませんからね?お忍びで行くことになると思いますし、そんなことに兵を動かすのは申し訳ないので」


信じられない言葉が飛んで来る。


「何言ってるんですか!?ノルさん!止めてくださいよ!!」

「いやぁ、なんというか。

私も気になってしまって、シエル様お気に入りのカフェが」

「はぁ!?」

「肉料理はあるかな?」

「ありませんよ!カフェってわかります?セラフさん」

「え、ないのか」

「んも!ちょっと!ロイド局長!!」

「んー?」

「助けてください!」

「お前ら、結構高くつくと思うからちゃんと金持って来いよ?

俺もしこたま頼んでやる。」


なんて、サリアとリヴァエルにいうロイド局長。


「あー、駄目だ。ここには、まともな人がいない。」


狼狽える私に、サリアが近づく。


「大変そうだね、シエル」

「これで一国の未来を司る人たちだっていうんだから驚きでしょ?」

「――でも、本当に良かったの?」

「何が?」

「いや、君にしたことの…」

「十分よ。なんか、いろんな人が付いてくるみたいだけどね」

「ははは」


「おい、シエル」

「だからなんです」

「呼び方の件もまだ決めていない」

「あぁ。もう。」

「そいつらのことは友人みたいに呼ぶし、普通に話すじゃないか。そいつらだって、そう簡単に馴れ馴れしくできる相手じゃないだろ?」

「国民を、そいつら呼ばわりするのはやめてください。」

「いや、ずるいだろ」

「何がです?」

「俺の方が先に友人になったのに――」

「なら、友人の交友関係にやきもちを焼くのはやめてください。」

「やきもち?」

「僕の方が先にお友達になったのになんで、僕より仲良くなってるのー!ってことでしょ?

子供のやきもちみたいですよ?」

「これが、やきもちというのか…。」

「はぁ、なんなんです?この、人間初心者みたいな人は」


ノルさんの方を見る。


「お言葉ですが、シエル様もなかなかだと思いますよ?」

「え?何がですか?」

「自身が住む国の第二王子にそのような物言いをする時点で、シエル様も人間初心者だと。」


おかしい!そんなことはない!


と言いたいが、言われた言葉に全力で違うと言い切れない自分もいる。


ああ、もう、帰りたい。








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