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手紙を魔法で空に飛ばしていたら、天然な第二王子の目にとまり、まんまと振り回される結果になりました。  作者: らいあ


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第12話 -綺麗なもの好き-

「フレイジアは、グレラードに対して攻撃を企てているんだ。」


サリアの言葉に、その場の空気が変わる。

先程までこの状況を楽しんでいる様に見えたノルさんも、一瞬にして表情が変わる。


「そんな話になってくると、いよいよ俺たちだけの話では終わらないな。」


ロイド局長がボソッと呟く。


「サリアさん、改めて申し上げますが私は、

ルヴァール王国 第二王子 アレル・ルヴァール殿下の側近を務めています。


私がここにいることによってあなた方の身に危険が及ぶ可能性はありませんか?」

「え?」「は?」


ノルさんの言葉に、サリアもリヴァエルも驚きの声を上げる。


「街同士の対立はいつの時代も少なからずありました。

だから、大きな火種にならない場合は国として公に動くことは余りありません。


それが、ルヴァール王国全体を巻き込む内戦へと発展するなら話は変わってきますが。

今、フレイジアが話合いの場などは設けず直接攻撃に出るのであれば、それは国も動くことになります。

国民への被害が出ますからね。


しかし、その企てが実施される前に王国側が動けば、フレイジアは情報が漏れたことを疑うでしょう。


そして、計画を知る者の中から内通者を探し始める。


その疑いがあなた方に向けられた時、身の安全は保障できません。


やったこと、やろうとしていることへの罰は今のところ無視しますが

あなた方も、ルヴァール王国の国民です。


その国民が、危険な目に合うことはルヴァール王国に仕える身として見過ごせません。

私なんかがこの答えを出せるんです。

勿論、我が主も同じお考えだと思います。」


そうか、この人国に仕える身の人なんだよな。

なんだか、あらためて実感した。


「心配していただくのは大変ありがたいですが、」


サリアが少し気まずそうに答える。


「僕が疑われることはないと思います。」

「何故です?」

「…僕の兄、ソウガはフレイジアの統括府統括長を務め、僕も統括府に勤めています。

そして、今回の企てをしているのが僕の兄です。僕は、それに賛同し全力でサポートする言わば№2のポジションにいます。」

「…なるほど、確かにそう簡単には疑われないですね。

なら、教えていただきたいのですが何故、グレラードへの攻撃を企てているのですか?


確か、フレイジアとグレラードは昔から友好関係を結び関係は良好だったはずですが?」


ノルさんが問う。

思えば、今ここに私がいる事は場違いなんだろうなーなんて感じていた。


「そうですね、今まではそうでした。

ただ、兄が統括長になりグレラードの統括長も代替わりで変更しました。


そこから両国の関係は、少しずつ変わっていったのです。


元々付き合いの長いフレイジアとグレラードは、互いに有益になる条件で貿易を行っていました。


グレラードからは魔法具の輸入と使い魔の輸入をし、フレイジアからは鋼鉄・鍛石製品・炎魔石の輸出を行っていました。


グレラードの魔法具の加工にフレイジアの魔導炉が使われたり、フレイジアの魔石・炎魔石の力を強めるために、グレラードの魔法具が使われたり互いに、持ちつ持たれつで。


両街共に統括長が変わってしばらくして、互いの輸入品に粗悪品が混ざるようになりました。


初めは、単なる製造上の不備だと考えられていましたが、粗悪品の混入は一向に収まらず。

今では、互いの街で損害が出るほどになってしまいました。」


「でも、それくらいの火種で武力行使に踏み切るか?」


ロイド局長が言う。

確かにそれは私も思っていた。

先に、両統括長と場合によっては国の人間を交えての話し合いを行うべきだろうし。


「僕も、そう思っていた。まずは、話合いからだろうと。兄ともそんな話をしていた、はずなのに――――。


少し前に、国外から商人がやって来たんです。」

「国外から?そんな話聞いていませんね。

ルヴァール王国では、国外から商人を招いて貿易を行う場合、国の許可を得てから行う決まりになっています。」


「はい、それは我々も承知していました。

ただ、許可証を提示されたのです。」


一気にノルさんの表情が怖くなる。


「あの、ロイド局長。ノルさんってあんな怖い顔できるんですね…。」


私は、こっそりとロイド局長に言う。


「あいつ、怒るとめちゃくちゃ怖いぞ。」


絶対に怒らせないようにしよう。

そう心に決めた。



「今思えば、あの許可証は偽物だったのだと気付きましたが当時は、兄も僕もろくに確認もしないで―――。申し訳ございません。」


サリアが表情を歪めながら謝る。


「その証人を名乗っている奴が悪いのです。それに関してあなたが謝る必要はないでしょ。

それより、その続きを話してください。」


「あ、はい。えっと。その商人から兄は宝石を買いました。

商人の話ではルヴァール王国内どこを探しても見つからない宝石で、国外のある限定の地域でしか取れない宝石だと言っていました。


兄は、幼い頃から綺麗なものが好きでその宝石も、買ってしまったんです。」


「その言い方だと、まるで買ってはいけないように聞こえますが?」


「…恐らくその宝石は、魔石なんだと、思います。」


ノルさんの表情がより怖くなる。


「兄は、その宝石を指輪に加工してずっと付けています。

思い返せば、兄がおかしくなっていったのもその指輪を身に着けるようになった頃からなんです。


兄が兄でなくなっていっている気がして―――。


そして、指輪を付けだして数日後、急にグレラードを襲うと言い出して。


初めはふざけているのかと思ったくらいでした。兄は温厚で争いごとを率先して生み出すなんてことしない人でしたから。


それなのに――。

兄の思考はどんどん崩壊し始め、このままでは本当に内戦を起こしてしまう。


そう思って僕は、ウエンティスに助けを求める手紙を出したんだ。

風魔法には、浄化の力もあるしフレイジアを、兄を助けるために。」


「それなら、なんで国に助けを求めなかった?ウエンティスよりも、助けてもらえる可能性が大きいはずだが?」


ロイド局長が聞く。


「国に手紙を出したところで、君たちの確認と国独自の確認をしてから届けられるでしょ?

そしてそこから、実際に読んでいただくまでにどの位時間がかかるか…。


一個人の手紙なんて最悪読まれない可能性だってある。


それに――――。」


サリアが言いづらそうに下を向く。


「それに、兄が罰せられるのが怖くて。」


チラリとノルさんの方を見るサリア。

その視線に気付いてか、気付かずか、ノルさんは微かに笑い言う。


「確かに、普通なら国家反逆罪・内戦陰謀罪・国家騒乱罪場合によっては、王国危殆罪も科されるかもしれませんね。」

「そんな!!ちょっと待ってくれよ!ソウガさんは、あの石におかしくさせられちまったんだよ!」


ノルさんの言葉を聞いて今まで口を開いていなかったリヴァエルが、必死にノルさんに訴えようとするが、それをノルさんが制止させる。


「普通ならと言ったでしょ?

人の話は落ち着いて聞いてくださいね?」

「っ、でも!」

「リヴァエル、」


ノルさんの制止も聞かないリヴァエルを、サリアが止める。

リヴァエルは、両手の拳を強く握った。


「まずはその、お兄さんのソウガさん、でしたっけ?と話す必要がありますね。

あと、風書局宛に手紙を出していたのはどなたですか?」


「兄です。

グレラードに攻撃するときの方法の一つとして、手に入れておきたかったんだと思います。


それに、グレラードが寄越した粗悪品ですが、同じものの上等品をウエンティスに輸出しているみたいでそれも、気に食わなかったんだと思います。」


「では、まずは一度、あなた方は王宮に来てください。」

「え?!」「んなっ!!」


ノルさんの言葉に、サリアとリヴァエルが驚く。


「その”国外からの商人”がどうも引っ掛かります。

現時点では、国内での問題のみですが、悪影響を及ぼされている以上国としてもしっかり調べる必要があります。


それに、別に国王に報告しに来いと言っているわけではありません。


アレル殿下への報告をお願いしたいのです。」


サリアとリヴァエルが、顔を見合わせる。


そりゃそうだよね。

ノルさんはまるで、国王よりはハードル低いでしょ?みたいに言ってるけど、アレル殿下のことを知らない人からしたら、一国の第二王子。


まぁ、少し中身を知ればただの、天然坊ちゃんなんだけど。


「そんな緊張されなくて大丈夫ですよ。

そこにいる、さも私関係ないです―みたいな顔しているシエル様もつれていきますし。」


そうだよね―緊張するもん。

……ん?


「は?私ですか?」

「はい」

「え、なんで私も?」

「当たり前でしょ。

この事件が私の耳に入ったきっかけは、あなたですよ?」

「私はただ、攫われただけで!」

「ん?」


ノルさんが笑顔で首を傾げる。

――怖い!なんで笑ってんの?!


「シエル」


ロイド局長が私の肩に手を置く。


「諦めろ」


あぁ、頼みの綱も屈服したか。




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