注文の多い・・・。
カツカツと足音が2つ。そこには、暗闇と、水濡れした土の臭い。すえた匂いとネズミの音。居心地が良いとは言えないどころか、不快感が高い。
平民、それもこれから死に行くものに対して環境やら住環境を良くするなどありえない。貴族であれば専用の屋敷の座敷牢だが平民ならこんなもんか。
貴族の死刑なら毒杯かギロチンであるが平民は何でも有りだし、死刑は公開されエンターテインメントにされる。
本来であれば、皇太子がこんなところに来る事もなければ来るべきではない。だが、今回はしょうがない。責任者として囚人に取引か宣告を持ちかけるのだ。
ボロボロの貫頭衣を着せられ、両手を吊り上げられた格好の女性がこちらを強気に睨んでいる。
「おー可愛い子ちゃんがこんなところにいらっしゃって死にゆく者にナニでもくれるってか?。」
強気に振る舞っているが顔が強張っている。尋問を受け、寝かされていない中でやって来る貴族。それもただの貴族ではなく王侯貴族がこんなところにやって来たのだ。これ以上の事をされると考えたのであろう。
「それはできないが、こちらに協力してくれるならば慈悲を。今なら、一族三親等みな股裂きからお前のみの処刑まで選ばせてやれるがどうする?
まず、嘘や非協力的ならば大好きな水をたらふくになるまでたっぷりと飲ませてやる。そして、家族から例外なく刑罰に乗っ取りお前の眼の前で一人ずつ火刑と釜茹でだ。」
水を飲ませるつまりは、水責めだ。顔にかけられた水を含んだ布による窒息の感覚と、水に溺れる感覚がある。対象が死にづらく、傷が残らないという理由から、帝国では平民に対して最もポピュラーな尋問方法だ。
元々顔色が青ざめていたのに更に悪化して土気色になり恐怖が浮かんでいる。死刑が決まっているが、死なないように尋問されつづけ眼の前での家族の処刑を予想したのだろう。
今まで一言も口を出さなかったが、嫌そうな空気を纏いながらもヴィーが助け舟を出してくれる。ここに来ることを反対していたもんな。
「それで、どうするのですか。チャンスは今のみ、殿下のお言葉が裏切られる事はないですよ。」
沈黙の間が流れる。家族の事か尋問を考えたのかわからないが重苦しい声で彼女が口を開いた。
「ご慈悲をいただいてもよろしいでしょうか。精一杯協力させていただきますので家族を何卒慈悲をお願いいたします。」
「わかった。お前の働き次第で刑罰が変わる事は良く覚えておけよ。」
「しっかり励みなさい。」
そうして、拷問管理官により会った事がある者の似顔絵を作成し調書を再作成させる。そして東南辺境の街について代官を抱き込んでいたのか、どこまで腐敗が進んでいたのかを確認させていき、どう進めて行くか考える。辺境の街に行くが監査査察などの仰々しく行けば下手人は逃げる。平民の振りはまぁまず無理だろう。
顔を隠しても言動やら行動で貴族と丸わかりだ。だって俺自身パンの買い方すら知らん。銀貨一枚か?神様とデートする事はあるが、全部出して貰うから財布を出すなんて事をした事がない。
それなら、どっかの貴族のぼんぼんが猟に来て滞在している。そこで捕らえた官吏を使い網を張り餌に食いつくのを待つ。餌に食いついた所でおうお前なにしてくれてんじゃって出ていく。出てくるのは護衛に偽装させた第5騎士団だ。
この後は第5騎士団の駐屯地に行って状況の共有、部隊編成などやることが山積みだ。
あんな所に入るなんてなんちゅー悪い事したんじゃろうなぁ?




