↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆転世界における現人神様の箱庭生活  作者: けちゃらー第一号被験者
48/53

飼い犬の災難、前編


皇都を出る約二週間前に、『些細ながらクッッッソ面倒な問題が起きましたわ!』と慌てたバシリイがやって来た。

これから出て、国境地帯の駐屯地に入り、現地で日程を合わせる予定だったが、聞いてみると、大隊長クラスにまで「俺が駐屯地入りする」という情報が漏れていて、かなりお怒りらしい。


これから敵国に情報が伝わったとしても、今さら手を打つことはできない。だが、問題はそこではない。情報が漏れたことで、駐屯地側が俺の来訪を知ってしまったことだ。

各団長級は既に現場入りでいないため、バシリイはいるので第五の副官二人のラクトーシャとナイリアシナを急遽呼び出し、これからを相談する。


国境地帯の騎士団は、誇りある大強盗集団なので扱いが面倒なのだ。彼女達は国境を守り、銃後の民達を守り、逆襲では他国へ強盗に行く。

なので、本来なら守られる側の皇族である俺が前に出て、作戦まで行うなど、彼女達からすると『下がっとけボケ!』と言いたくなる気持ちも分かる。


が、今回、彼女達の上官の上官は俺なのだ。

舐められたままなのは、許されない。


そして主人を舐めた駄犬など許さない。


「で、今回の件の処罰は、後回しでいい。このまま駐屯地入りしたら、囲まれてしまうぞ?」


「舐められてますから、反抗され、主導権を取られかねません」


「皇太子として命令をしてもいいですが、今後に響きます。特に、秋の戦役が面倒になります」


「後ろにいる、護るべき皇族が体を張ってるのを、黙って見てられるほど良い子ではないっす」


「その第五のお二人の言う通りですわ……。国境を守り、民と帝国を守ってるという誇りが、今回仇になってしまいまして……」


ヴィーも、ラクトーシャもナイリアシナも、似た意見を出してくれる。


「それで、怒りの根源としては、俺が『守られるだけの弱っちい皇族』と思われてるからか?」


「その通りですわ。私は兎も角、情報が遅い国境地帯では『守るべき可愛らしい皇族』と思われておりますわ」


「可愛らしいってのは、賛成っすが、過保護に守る必要はないっすよ」


「この前、『処女斬った』と報告書を読んだし、サポートで手を貸したが、手を汚したからな」


「私も知っておりますわ。言い訳ではありませんが、最近は国境地帯が騒がしく、長期間そこを離れて帝都に来られる部隊もいなかったので、まだ殿下に幼少の頃のイメージを持ったままの者が多くいますわ。皇太子となられましてから、閲兵式もしておりませんし……」


あぁ、確かにこの件にかかりっきりで、騎士や兵士の閲兵式や夜会に出てないから、俺の落ち度でもあるな。これが終わったら、出なきゃ不味いな。


「つまりは、殿下を強く見せればいいと言うことでしょう?」


「極論、そうだ」


「ぶっちゃければ、そうっす。中身は、いたずらっ子で可愛らしい男性っすけど」


「その通りですが、やり方が問題ですわよ?騎士学校では、弱っちかったですし……」


「うるさいよ。組討に持ち込めれば何回か勝ったじゃないか!」


組討に持ち込めたのは最初のうちだけだ。あとは、腕力でやられた。

日々、戦闘訓練に明け暮れ、国境地帯で傭兵がうろちょろ小競り合いをしてる、現役騎士を相手に、武力で上回れと言うのは不可能に近い。


「そうなのですが、時期も悪く、結構ピリ付いていまして。武力で認めさせるなら、まず私に勝ってからでないと、無理ですわ……」


「さて、じゃあ、殿下がただ守られるだけの存在ではないと、分かって貰う方法を考えなければいけません」


「無茶だ」


「無理っす」


「卓上演習や、兵士たちとの演習では、納得してくれるような良い子ではないです」


「みんなして、酷い言いようじゃないか……。君たちに挑んだって、返り討ち間違いなしだが」


しんっ、と静まり返ってしまう。正攻法では、無理だ。

じゃあ、どうするか。

権力には靡く。けど、上に行きたいから騎士やら兵士をやって、国境にいる。だからこそ、プライドもある。


「こういう時は、正攻法に見せた横合いからの殴り倒しを、やるべきか」


「殿下……」


「またですの……?」


「「?」」


ヴィーとバシリイは、嫌そうな顔をしている。あれは評判が悪いんだよな。


ラクトーシャとナイリアシナは、よく分からないって顔をしている。


「分からない二人に、超簡単に説明するとな。俺は弱い。弱いが、名誉を傷つけられたから試合をするとする。そこでルールにないことをやったり、ルールを曲解したりして相手をボコった」


「いたずらっ子ってレベルではねぇっす、ワルガキっす」


「まぁ、引けないなら仕方がない」


「ラクトーシャは、もっといたずらをして欲しいと。分かった」


「?!け、結構っす!」


「お楽しみだな。私も混ぜて欲しいところだ」


「是非、参加を」


ラクトーシャを弄るかとナイリアシナとそんな話をしてから、『こういうのはどうだ?守るべき皇族から挑発されて、逃げられるか?』と作戦を話していき、バシリイからは、『そんな挑発をされておいて、逃げましたら隊長の威厳が吹き飛び、部下が付いてこなくなってしまいますわ』と、お墨付きを得た。


作戦会議をして、そのまま伝令で第七騎士団長に、『このまま行くが、大隊長達に暴走だけはさせないように』と厳命した。


主人を舐めた駄犬を躾に行く、なんてことになるとは……。

皇族の男性あるあるじゃな。男は守ってなんぼのものじゃが、教育がしっかりしておる故大丈夫じゃろうて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。