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逆転世界における現人神様の箱庭生活  作者: けちゃらー第一号被験者
23/53

ぽっ♡

 ゴンドフィナ視点



 私はゴンドフィナ。勿論、本名ではない。

 東部辺境の一部における情報収集管理担当官として働いている。所謂、軍属で中間管理職だ。地方の補佐官たちから上がってくる情報を統括し、内容を精査して上に報告する。そして、必要と判断されれば工作担当官を動かす。

基本的に報告書を作ることが多く、現場に出ることはない。情報を集約し、精査して動かす。


それが私の役割だ。


 そんな私に、今回、珍しく第九騎士団長閣下から直々に命令が来た。辺境の町におられる皇太子殿下を迎えに行き、その後、領都の担当者に引き渡せ。

 通常業務の合間に協力を求められて、必要な場合のみ手伝え、という内容だった。違法奴隷の件については以前から動きを掴んでいたし準備も済んでいた。領都の工作担当官に下命するだけで済むはずだったのだが、今回は皇太子殿下が預かることになった。


 この一件は、皇太子殿下に表と裏の両方を学ばせる良い機会になる。だから手を出すな。そういうことらしい。私個人としては、誘拐された男性を一人の人間ではなく、ただの「数」として扱う考え方には賛同できない。

 攫われた男性が無事なのかも心配だ。だが、個人の事情を考える以前に、私は軍属の人間だ。命令があれば従い、こなす。

 それが私の職務だ。そして今回、皇太子殿下を初めてお目にかかることになった。


 私自身、一応結婚もしており、騎士爵も拝命している。ただし領地はない。新年のパーティーも身内のものしか出ない。そんなことをしていると夜会の誘いも来なくなるし、たまに来ても出席しない。

 そのため、皇帝陛下から騎士爵を授与された時くらいしか公の場に出たことがない。その時には皇太子殿下はおられず、今まで直接お目にかかったことはなかった。


 皇族。それも皇太子殿下については、噂だけは聞いていた。


 だが……。

 噂以上に可愛い御方だった。誰だ。普通の可愛さとか言ったのは。滅茶苦茶に可愛いではないか。大根役者な演技でも許せる。百点満点中、千点出せる。いや、大根の煮物を一緒に作って食べたいぐらい可愛い。

 ……いかん。


 私は何を考えている。旦那様のことは普通に愛している。子供はもう巣立ったが、今でも可愛い。だが、殿下はヤバイ。別物だ。

 あの両手で捕まえられて、下から見上げられた時など、キュンキュンときてしまった。普段の業務で表情が死んでいるため、動揺が表に出なかったのが幸いだった。心臓は早鐘を打っていたし、今もまだ動悸がする。


 あんな可愛い殿下と仕事ができる。そう思った。幸運が巡ってきたと思った。だが、その幸運も……お会いできただけで終わってしまった。私の職場には華なんてない。

 あるのは書類と、堅苦しい奴らと、厳格な規則だけだ。別班の工作担当官たちはむさ苦しいし、纏う空気もどこか怖い。まぁ、一部の神殿騎士たちよりはましだけど。

 それでも、これから辺境の町から領都まで、あの可愛い殿下を馬車でお送りするだけの仕事では、物足りない。一緒に仕事ができたら、どれだけ癒やされることか。


 ああ、だけど……。悲しきかな。この稼業では、あの可愛い殿下に裏の汚い世界を見せてしまうことになる。

 それを思うと、ちょっとだけ閣下を恨む。


 ……いいなー、担当。


中間管理職の辛い所よの・・・。

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