おっき!
3回戦じゃなく4回・・・枯れるっ。
うぅぅ、重い……。微睡みのなか、柔らかく、触り心地が良く、懐かしい何かが腹の上にある。
だが、ここは絞り器の中か……。上から潰され、苦しい。
「うぐぐ」
目が覚める。そして、よく見ると休憩小屋だった。
周りには、顔に青痣だらけで茶を飲む副団長と隊員達、腹に顔を乗せてうたた寝をするヴィー。
なにげに手まで握られていて、動けない。
青春だねー、これからこそ青春はくるっすよーと雑談してニマニマしているが、鉄火場に放り込まれたことは忘れてないぞ。
右肩やら肋骨が痛い。が身動きをする。
「んんー……。はっ!殿下、起きられたのですね!」
「あぁ、みんな心配をかけたな。おはよう、ヴィー。怪我はしていないか?
あれからどれくらいたった?」
窓から差し込む光はなく、暗い。周りには客がいる気配もない。いるならば、解体場か。隣にいるヴィーを見ると、心配していたのか、疲れたような顔をしている。
「私が運び込んでから三時間ぐらいでしょうか。尋問も開始しております。
ちなみに、どこの誰かは未だ〆足りないので締めます」
「その誰かは俺も締めるから後でいい。ねー、だれかはー」
目を逸らす、青痣だらけの誰かを下から見上げる。冷や汗をかいているようだけど、どうしたのだろうか。
ちょーーっとお仕置きをするだけだ。
「ひゅひゅひゅー、心配はしなかったっすよー。あ、怪我ですが残る物はないでしょー。あーしが美味しくいただくんすから、綺麗きれいっすよー。消毒にあーしが舐めてあげてもいいっすよー。
それと、着替えさせて手当したのは、あーしら女ではなく男がやったっすよー。残念な事にですが。
ストリップショーさせてしまいたかったのに残念っす」
「そうか、手間をかけたな」
誰かがラクトーシャを睨んでいるのであろう。強引に話題を変えている。
「そ、そんなことよりー、お客人達どーするっすか?お客は手配されており、引き渡すにしても方法考えるの面倒っす。勝手ながらお話をさせてもらいましたが、想像以上に口が堅い。
じっくりコトコト煮込んで裏付けをと思いますが、三人を面倒見るにあたって、時間はともかく人員が足りないので、伝書鳩で応援を呼ばせていただきました。勝手に動いた件についてはいかような処分を受けます」
「そうか。処分はありえない。最高位の指揮官たる俺が行動不能だったからな。原因については、よぉぉぉくお話が必要だが、処分はない。お口が堅いかー」
戦った感じ、騎士未満、兵士以上だったもんなー。確実に訓練を受けた動きだったし、こんな仕事をするなら尋問訓練ぐらい受けるよなー。ヴィーから質問がある。
「ちなみに、尋問して心が折れるとしたら、どれくらいだと思われます?」
「そうですねー。専門家ではないのでー、正確な事は言えませんが、道具や環境もないのでー、五日ってとこですかねー」
「ここから逃げる奴は全員ここと、土の下ですので、上役は連絡がなく状況がわからず、やきもきしている状況でしょう。
ですが、続報がなく途絶えた場合、国内にいたらそのまま雲隠れではないでしょうか?」
「あーしらなら、一日もあればー高跳び出来て、痕跡のぎそーもよゆーっす。捕まったと知ったなら、関係者をきれーきれーに来るか、どっちかっす。ま、あーしならとぶっす。
つーか殿下、顔色が悪すぎっす。せーっかくのかわいい顔が台無しっすよ」
あー、頭が回らない。頭にモヤが掛かって、案どころか、話が半分ぐらいしか入ってこない。どーしよか。
尋問するにしたって、質問が出てこない。
「殿下、一旦お客人たちはここで待たせ、宿に戻りませんと、貴族が外に出たまま戻らないと、やらしい噂か、下手すれば捜索隊が出されます。
あと、殿下の顔色が悪く、心配ですし、このお顔でお客人に挨拶などされた日には舐められて、正体を悟られます。一旦宿に戻りましょう」
「あーしもその意見にさんせーっす。こちらに人員を割くことになるっすけど、こっちの正体がバレる方がもーっと厄介っす。
まだ相手はどこか舐めてますけど、高位皇族だとバレたら、全力で自死か逃走を図るっすよー」
この二人にそう言われて、反論しようにも、ぐうの音も出てこない。
「そうか。役立たずは宿に戻って休むとしよう」
「べ、別に殿下の事を役立たずなどとは……」
「まるでーっすけど、忌まわしき新兵卒業訓練の時に行かされた西方の海蛮族退治任務の魚人と似たような顔色っすよー。あいつらのほーが、海から泳いで来てそのまま引きずり込まれ、一緒におよぎーましょーって、ごはんちゃーんって。アイツラのほうが、昼だろーと夜だろーと元気っすよー。
夜がお盛んな事はいいことっすよね、やっぱり」
皇族を魚人蛮族共と比較するか。西方辺境地へ任命してやろうか。
任期無期限で。
「よーく分かった。今回の働きに俺個人として感謝をしている。特別報奨として貴官を昇格させ、栄ある西方の蛮族討伐隊長として任命しようではないか。希望は聞いてやるぞ?
景色は良く自然豊かな場所か、海産物が豊かで美味しいと言われる場所か。やはり、行ったことのない自然豊かな場所がいいか。決まりだ」
「クソ蛮族エルフも魚人蛮族も勘弁してくらさーい。せめてっすけど、男の上で死にたいっす!それか腹上死をきぼーっす!!」
「どこぞの神様に、『ちっっ、感のいいガキは嫌いだよ』と言われるぞ」
ばかっぽい話し方と、緩い言葉ではあるが、戦いで張り詰めた心が少しゆるんだ気がした。
宿にもどるかー。
大将が前線指揮をするように、契約させたのは我じゃが、死なないかいっつも心配じゃあ。




