甘い朝の微睡みと、誓いのキス
「……ん……っ」
鳥たちの可憐な囀りと、天蓋の隙間から差し込む柔らかい朝の光。
ゆっくりと意識を浮上させたヒロは、身動き一つ取れないほどの圧倒的な「重み」と「至福の柔らかさ」に包まれていることに気づいた。
右腕には、ヒロの二の腕を抱きかかえるようにして無防備な寝顔を晒すエリス。彼女の銀髪がヒロの首元をくすぐり、規則正しい甘い息遣いが肌に触れている。
左側では、ルチアがヒロの胸元にすっぽりと顔を埋め、まるで宝物に抱きつく子供のように服の裾をぎゅっと握りしめていた。
さらに足元からは、白銀の甲冑を脱ぎ捨てて素肌に薄着を纏ったヴァルキリアが、ヒロの足を愛おしそうに抱きかかえながら小さく寝言を呟いている。
「むにゃ……ヒロ殿……逃げないでくれ……」
そして、ヒロの頭上――枕元からヒロを見下ろしていたのは、金髪を美しく散らし、可憐な微笑みを浮かべた女王ルミナスだった。
「おはようございます、私の愛しい王子様」
「る、ルミナス……っ!?」
ヒロが驚いて声を上げると、ルミナスは細い指先をヒロの唇にそっと当て、いたずらっぽくウインクしてみせた。
「ふふ、静かに。まだ可愛い妹たちが眠っていますよ?」
そう言いながら、ルミナスはゆっくりと身を乗り出し、昨日よりも自然に、そして深くヒロの唇に己の唇を重ね合わせた。
「んむ……っ……」
朝の光の中で交わされる、甘くて濃厚な接吻。
「……んあっ!? 陛下、朝からズルいですっ!!」
目を覚ましたエリスが顔を真っ赤にして跳ね起きる。その声に反応して、ルチアとヴァルキリアもパチパチと目を擦りながら起き上がった。
「ふぁ……朝から猛アタックなんて、相変わらず手厳しいわね……」(ルチア)
「うむ……! 誓いの接吻は、臣下である我らも譲るわけにはいかん……っ!」(ヴァルキリア)
ヴァルキリアは意を決したようにヒロの顔に急接近すると、照れくさそうに目を閉じ、ヒロの頬に優しく誓いのキスを落とした。
「ひ、ヒロ殿……! 私の生涯を、あなたに捧げる……っ!」
「ああっ! ヴァルキリア様まで! だったら私も……っ!」
エリスも対抗するようにヒロの反対側の頬にキュッと唇を押し当てる。
「ヒロさん……私、世界で一番ヒロさんが好きですっ!」
「はいはい、順番待ちなんて科学的じゃないわね。私はここに……」
ルチアは悪戯っぽく笑うと、ヒロのおでこにそっと唇を重ねた。
「私の頭脳も、心も、全部あなたのものよ……ヒロ」
四人の美少女たちから次々と贈られる甘い愛の印。ヒロの顔は爆発しそうなほど真っ赤になり、胸の鼓動は激しく鳴り響いた。
「みんな……ありがとう。僕も……みんなのことが大好きだ。これからこの世界で、みんなと一緒にたくさんの思い出を作っていきたい」
ヒロがまっすぐな瞳で素直な気持ちを伝えると、四人の乙女たちは息を呑み、感極まったように頬を染めた。
「「「「ヒロ(様)……っ!!」」」」
全員が女子の世界で、たった一人の「男」として降り立った少年と、彼を心から愛する美少女たちの物語。
戦いを乗り越え、固い絆と愛で結ばれた彼らの前には、甘く、賑やかで、かけがえのない最高の毎日がどこまでも続いていくのだった。




