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破滅の咆哮と、光を穿つ絆

「全軍、突撃――っ!!」


ヴァルキリアの凛烈な号令が朝空を切り裂き、聖騎士団が一斉に駆け出した。


地平線を埋め尽くすのは、異界の濁った魔力を纏った黒い魔物たちの群れ。その中心には、数丈の巨躯を誇る四つの目の大魔獣――今回の混乱の元凶が咆哮を上げていた。


「ヒロの作ってくれた回路、一気に開放するわよ! 喰らいなさい――『魔導ハイパーキャノン』発射っ!」


城壁の上でルチアが叫び、巨大な魔導砲から放たれた虹色の光束が魔物の群れを激しく穿つ。ヒロとルチアの共同作業で組み上げた極限の魔導兵器は、圧倒的な威力を発揮し、進撃する敵の前衛を一瞬で消し去っていった。


「ヒロさんの居場所は……私たちの未来は、絶対に渡さないっ!!」


前方では、銀髪をなびかせたエリスが閃光のような剣技で魔物を次々と斬り伏せていく。

昨夜、ヒロと交わした「名前を呼んで抱きしめる」という約束。その甘い言葉が彼女の全身に凄まじい力を漲らせていた。


「ふははっ! 我が剣に迷いなし! ヒロ殿の愛に応えるため、この道を切り開く!」


ヴァルキリアもまた、白銀の甲冑を輝かせながら大魔獣の足元へと肉薄し、巨獣の足を一閃して崩れ落ち込ませる。


だが、大魔獣は倒れ際に狂乱し、胸元の異界の核からどす黒い破壊の光線を放った。その狙いは、前線の指揮を執るヴァルキリアとエリス――!


「二人とも、危ないっ!!」


城壁の上から跳び下りたのは、ヒロだった。


ヒロが二人を庇うように立ち塞がった瞬間、彼の中に眠っていた異世界転移の余剰エネルギーが、眩い純白の光となって爆発的に解き放たれた。


ドォォォン――ッ!!


黒い破壊光線と、ヒロの放つ純白の光が激しく衝突する。


「ヒロさん……っ!?」「ヒロ殿――ッ!!」


「僕だって……みんなを守りたいんだ! 君たちが僕を『奇跡』と呼んでくれたから……みんなの愛が、僕に力をくれるんだっ!!」


ヒロの叫びに応えるように、エリス、ヴァルキリア、そして駆けつけたルチアの魔力がヒロの光とひとつに溶け合っていく。


四人の想いが重なり合った瞬間、純白の光は巨大な光の剣へと姿を変え、大魔獣の核を真っ直ぐに貫いた。


「ガァァァァァッ……!!」


断末魔の悲鳴とともに大魔獣は光の中へ消滅し、空を覆っていた異界の黒雲が嘘のように晴れ渡っていく。


静寂が戻った戦場で、膝をつきかけたヒロを、三人の美少女が同時に抱きしめた。


「ヒロさんっ! ヒロさん……っ! 無事で……無事で良かった……っ!」

エリスは涙をボロボロとこぼしながら、ヒロの胸に強く顔をうずめた。


「バカ……ッ! 無茶しすぎよ! でも……最高にかっこよかった……っ!」

ルチアはメガネを外して涙を拭い、照れくさそうにヒロの首に腕を回す。


「我が最愛の勇者よ……! この命、生涯あなたに捧げよう……っ!」

ヴァルキリアも溢れる愛おしさを抑えきれず、ヒロの頬にそっと己の頬を寄せた。


朝日に照らされる戦場で、重なり合う温もりと甘い吐息。

異界の脅威を乗り越えた僕たちの絆は、もう誰にも引き裂けない確かなものとなっていた。


そして、城壁の上からその光景を見守っていたルミナス女王が、愛おしそうに目を細めながら囁く。


「ふふ……勝利のお祝いに、今夜はもっと甘い『褒美』を用意しなければなりませんね……」


世界でたった一人の「男」と、彼を愛する可憐な乙女たちの物語は、より甘く、より賑やかな新しい章へと続いていくのだった。

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