新たな試練と、絆の証明
「……皆、集まってくれたな」
昨夜の甘い余韻が残る早朝。王城の作戦会議室には、エリス、ヴァルキリア、ルチア、そして女王ルミナスの姿があった。
テーブルの上に広げられた大きな地図。その中央、王都の目と鼻の先にある『暗黒の森』の領域が、不吉な赤色で塗られている。
「偵察隊からの報告によると、森の奧で異界の魔力が急激に高まっている。さらには、異形の魔物たちが大群を成して王都を目指して進軍を始めたようだ」
ルミナス女王の真剣な言葉に、室内が一瞬で緊迫した空気に包まれる。
「そんな……! 異界の魔力だなんて、何百年も起きていなかったはずです!」
エリスが驚愕の声をあげる。
「原因はおそらく……ヒロがこの世界に召喚された際の『次元の歪み』ね」
ルチアがメガネのブリッジを押し上げながら、険しい表情で地図を指差した。
「ヒロという巨大な存在が次元を突き破ってやってきた反動で、世界の障壁に亀裂が入ったのよ。その隙間から溢れ出た異界の魔力が、森の魔物たちを狂暴化させている……」
「私の存在が……魔物たちを引き寄せてしまったということか……」
僕が俯きかけると、すかさずヴァルキリアが力強く僕の肩を掴んだ。
「俯く必要はない、ヒロ殿! あなたがこの世界に来てくれたことは、我々にとって祝福だ! 押し寄せる魔物など、我が聖騎士団が全力を挙げて粉砕してみせる!」
「そうです、ヒロさん!」
エリスもまっすぐな瞳で僕を見つめ、両手で僕の手をギュッと握りしめた。
「ヒロさんが気に病むことなんて一つもありません! ヒロさんが来てくれたから、私はこんなにも胸が温かくて、毎日が愛おしいんです。ヒロさんの居場所は、私たちが絶対に守ります!」
「ふふ、私も同感よ」
ルチアもニヤリと自信満まな笑みを浮かべる。
「天才学者ルチア・ヴァレンシュタインの特製魔導兵器と、ヒロの元の世界についての知識を合わせれば、どんな大群だって怖くないわ。一緒に戦いましょう?」
「みんな……」
僕を不安にさせまいと、凛とした笑顔を見せてくれる彼女たち。ただ守られるだけの存在ではなく、僕も彼女たちの力になりたい――胸の奥から、確かな熱い感情が湧き上がってくるのが分かった。
「……皆の覚悟、実に見事です」
ルミナス女王は満足そうに頷くと、玉座から立ち上がり、自らも輝く金色の細身の剣を抜いた。
「ヒロ。これが、私たちからあなたへの『答え』です。この世界中のすべての女性が、あなたという奇跡を愛し、守り抜いてみせます。……共に行きましょう、私たちの未来を掴み取るために!」
「「「はいっ!!」」」
乙女たちの力強い返事が、会議室に響き渡る。
全人類が女子の世界で、唯一の『男』である僕と、僕を心から愛する美少女たちの絆を証明する――甘くも壮絶な初陣の火蓋が、今まさに切られようとしていた。




