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あべこべ世界でも純愛したい  作者: ひらめき
第二章〈トラウマ克服に向けて〉
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水着は人を大胆にさせる

side.ぐすくはる

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 何かやらかすと思っていたが、あのドスケベ外で脱ぎやがった。

 開放的なんてレベルではない。


 はーい、今から僕を食べたい人この体止まれー!と言っているのと同義である。

 周りのキャンプ客にそのまま食べられても文句は言えない。


 本当にあいつはわかっていない。

 自分の姿がどれだけ優れているのか、どれだけエロイのかを。

 前々から思っていたが、ここいらでわからせてやる必要があるのではないだろうか。


「ふっきー、私の水着の感想は?」

「え?あー似合うんじゃないか」


 明後日の方向を見ながら答える不木崎。最近わかってきたが、こういう顔をしている不木崎は恥ずかしがっている。人には裸を見せつけるくせに、自分が見るのは恥ずかしいらしい。あべこべなやつである。


 私は右手に持った日焼け止めクリームを不木崎に差し出す。


「えっと……?」

「ふっきーは自分が裸になる危険性が理解できてないみたいだから、わからせてあげようと思って。はい、特訓だから背中に塗って」

「い、いやいや冗談きついって。その恰好でもう無理なのに、触れとか拷問だって」

「大丈夫だよふっきー。椿トイレ行っちゃったし、霞さんまだ着替えてるみたいだし、誰もいないから、後拷問って言うな、抱き着くぞ」

「あれ?全然大丈夫じゃないよね?俺の不安全部無視してるよね?」

「してない!」


 そこから沈黙が続いたので、合意と見なして私は背を向ける。

 今日はビキニタイプを着てきたので日焼け止めは塗りやすいと思う。


「……はやく」


 そう言うと、後ろから小さくため息が聞こえてきて、きゅぽん、とキャップの外す音がする。見ていないからか、耳がすごく鋭敏になっている。

 そして、次の瞬間、不木崎の冷たくクリームでぬめっとした手の感触が肌の上を滑る。


「んっ」

「へ、変な声だすな!」

「ごめ……んっ!」

「頭痛い……」


 無茶を言わないで欲しい。塗ってと言ったのは私だが、不木崎も不木崎で触り方がエッチな気がする。

 またもおっかなびっくりに不木崎の手が背中に感じる。


 ビキニの紐の下も手をくぐらせてきて、胸が後ろに引っ張られる。

 声を出さないように頑張っているが、口を少しでも開けば情けない声が漏れ出そうだ。

 霞さんや椿がいつ戻ってきてもおかしくないこの状況で、私は全身の感度が上がっていってしまっている。そんな背徳感が、さらに私の体を過敏にさせる。


 不木崎にわからせてやるつもりが、これでは私がわからせられてしまっている。


「……あっ……んっ」


 背中を塗られているときはまだ我慢できた。

 しかし、今は少しずつ首筋へと移動させてきている。

 肩から首へ往復を繰り返す度に鳥肌が立つ。ふくらはぎがぴくぴくと痙攣しはじめ、立っていることもままならなくなる。

 焦らすように何度も撫でられて、息が苦しくなる。


「ふ、ふっきー、やっぱりそれ以上はだめ……かも」

「……マジでお互いに報われないからこういうこと止めようね?」

「それは……やだ」


 不木崎の方を向き直ると、真っ赤な顔をしていた。やっぱりまたやりたい。


 日焼け止めを受け取り、自分でつける。

 同じ首筋を触る行為なのに不木崎にされるのとは全然違う。自分でやると何ともないから不思議だ。


「ふっきーにも塗ってあげよっか?」

「俺はもう塗ってるからいいの」

「ちぇー」


 塗り終わるころに、妹がトイレから帰ってくる。

 何食わぬ顔で私の前まで移動してきて、ちょんちょんと肩を叩かれる。


「どうしたの椿?」

「いや、お姉ちゃんマジでムッツリだよね。後、AVの見過ぎ」

「見てたの…?」

「後で動画送るね!」

「それ以上のことしてた!」


 この妹、油断も隙もない。まぁ、私も人に言えないんだけど。それに動画は欲しい。

 さっきの様子とか霞さんに見られたら絶対に怒られる……かもしれない。


「母さん!今から川遊びするんだよ?パーカー来てたら溺れちゃうって」


 不木崎の声に私たち姉妹はその方向に目を向ける。

 そこには恥ずかしそうにパーカーのチャックを開ける霞さんがいた。


「……あれで一児の母。ふっきーもドスケベだけど、霞さんも大概ドスケベだよね。うちの高校の男子とか一瞬でメロメロになると思う」

「……うん。私も結構モテるけど、霞さんは別格だよ……なんであんなエッチなプロポーションを維持してるの?私まだ成長期終わってないから、この体形維持できる自身ない……」

「さらっとマウント取らないでよ」


 私たちは二人してゴクリと喉を鳴らす。

 小さい体に小さな胸、なのにどこか色気を醸し出していて、表情は庇護欲に満ち溢れている。チャックを下す瞬間なんて、同性の私たちから見てもエロい。


「というか、ふっきーはなんであれを見て平然としてるの……?」

「ま、まぁふっきーは私みたいにおっぱい大きいのが好きだし!」

「さらっとマウント取らないでよ」


 妹から怪訝な目を向けられるが、私は霞さんから目を離せない。

 涙目の彼女は不木崎に差し出すようにパーカーを捧げていた。AVの撮影現場なのだろうか…?


「うんうん!やっぱり母さん可愛い!」

「か、かわっ……いい……」

「ほら!写真撮ろ!写真!」

「ここここの恰好はだめ!」

「ええーなんでいいじゃん」


 ニコニコ笑いながら不木崎は霞さんと肩を組んで自撮りの体制をとる。

 

「あ、今素肌だからそんなに触ったらぁ!はぅ!」


 正直あんな光景を他のキャンプ客に見せてはいけない。

 盛りに盛った女どもに囲まれてしまう。保護者役の霞さんが今赤ちゃんモードに突入してる今、最年長の私がこの場を納めなければ……!


 しかしふっきーよ、私の肌は恐る恐る触るくせに、霞さんの肌にはあんなにも堂々と触れて肩まで組むとはどういう了見なのか。



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