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第43話・鴨が背負ってきた人間を調理する



 尾行者を捕まえて脇に抱えて帰って来た直後

 ”誘拐?”と、あながち的外れでもない一言がイージスの口から告げられた。


 どうやら、戻ってきて最初の仕事は弁明になってしまうらしい。


「まず、誘拐じゃない……と思う連れて来ただけだし、うん多分」

「どう見ても連れ去ってきたようにしか見えないんですけど……」


 そうは言うが、騒ぎにしない辺り彼女から信用されているようで安堵する。


 だが、その一方で――


「アポロさん。その女の子について説明してください。今、私は冷静さを欠こうとしています」

「せ、説明するから!」


 珍しくついたじたじになってしまうほど、彼女の瞳の暗闇は底が見えない。

 その、真っ黒な瞳でこちらを覗いていたカタリナを見て僕はすぐに説明に取り掛かった。




 ***




 説明を終えると二人とも納得してくれたようで頷いてくれた。

 どうやら嵐は去ったようで、漆黒に染めていた彼女の瞳も晴れてくれたようだ。


「なるほど。でも、それだけじゃこの子がアポロさんを暗殺しようとしたとは限らないんじゃ?」

「そうだと思いたいけど、彼女のナイフに塗られていた毒はかすっただけでも致死量になる。街での所持が禁止されてる物だったんだよね」

「な、何でわかるんですか?」

「舐めて見て痺れた感じかな。僕、毒効かないし」


 味と言うか、痛みの感じがそれと同じだった。

 多少の差異があれど、危険な毒が塗られているのに違いはない。


「な、舐めて……」

「毒が効かないからって危険なことはやめてください!」


 だが、二人の反応は芳しいものではなく。

 カタリナに至っては顔が生気を失い、今にも倒れそうなほど青白く染まっていた。


「ごめんごめん。それで、カタリナに頼みたいことがあるんだけど……」

「はいっ!何でもやります!!」

「い、勢いあるね」


 先ほどまで気持ち悪そうにしていたというのに、頼み事をしようとした途端に食い気味で向かってきた。


(暇だったのかな?)


 考えてみれば、特訓をつけると言っておきながら結局はノータッチのままだ。

 もしかしたら、多少なりとも不満が溜まっていたのかもしれない。


「お願いしたいのは、これ」

「きゃっ」


 僕はそう言いながら、寝かせておいたヴォカの服をめくるとヘソの下にある奴隷紋が姿を現した。


「だ、ダメですよ!女の子にこんなことしては!!」

「それは、その通りなんだけど。そうも言ってられなくてね」

「あの、私はこの子の治療をすればいいんですか?」

「う、うん。まずは、お願い」


 何故だろう、再びカタリナの目に暗雲が立ち込めて来たような気がする。

 心なしか声のトーンが一段階下がったような――


「『”偉大なる我が主”よ。我が捧げし魔力を贄に彼の者を癒したまえ。”治癒の奇跡(ヒーリング)”』

(いや、気のせいだな)


 その美しい祈りを見て、カタリナへの疑いの心は晴れた。

 彼女が放つ癒しの光がヴォカを包み込むと同時に傷は癒されていく


「終わりました。次はどうすればいいですか?」

「うまくなったね。それじゃあ、次は彼女の奴隷紋を解除しちゃおうか」

「ど、奴隷紋って解けるんですか!?」


 イージスが声を上げるのも無理はない。

 常識的には奴隷紋は購入した奴隷商の元に行き解いてもらうのが通説だ。


 しかしながら、実際はそれだけではなく”奇跡”を扱う者たちも解ける。


 おそらく、それもカタリナが売れ残る原因になったんだろう。


「結構難しいって聞くけど、幸いにも実験だ……協力者がいるからね。やれる?」

「やります!やらせてください!!」

「違法奴隷なら解呪しても法律を破る事にはなりませんし、情報を取れる可能性もありますしね」

「そうそう」


 正直、気絶させたまま治安局に引き渡してもよかった。

 しかし、個人的に違法奴隷が許せなかったり、カタリナのためになると思って連れてきたのだ。


「使う奇跡は”解放の奇跡”だ。詠唱は知ってる?」

「は、はい!昔、何度か見たことがあるので」

「……そっか、わかった。なら、早速やって見よう。イメージは”浄化の奇跡”を直したい個所に一辺に集中させる感じでね」

「わかりました。行きます!」


 もちろん、今話したのは100%知り合いからの受け売りだ。

 結局、詠唱やコツがわかっていても僕には発動させることはできなかった。


「『”偉大なる我が主”よ。我が捧げし魔力を贄に彼の者を解放したまえ。”解放の奇跡(リベレイション)”」


 浄化の奇跡とは異なり、赤黒い光が彼女の掌に集まる。

 それが、奴隷紋を包み込むと同時に優しく剥がれ出す――


 と、思いきや思い切り音を立てて皿でも割れたのかと思うほどの騒音をたてて消え去った。


「やった!やりましたよ!!私、一回目で出来たの始めてです!」


 ぱあっと花が咲いたような笑顔を見せるカタリナ。

 しかし、それと相反するように僕たちの表情は一気に険しい物へと変わった。


「あの、アポロさん。これって……」

「わかってる」


 僕の記憶が正しければ奴隷紋が”解放の奇跡”によって解かれたとすれば、こんな音は鳴らない。

 もっと、静かに消え去るものだったはずだ。


(確か、あれって奴隷主が亡くなった時に鳴るはず。だけど……)


 状況から考えるに彼女の主はアンルーフだ。

 だが、彼がこのタイミングで亡くなるとは考えずらい。


 逆にそれ以外にはこの現状を説明することはできないのもまた事実


(じゃあ、本当にアンルーフが死んだのか?)


 不可能なことを必然的に除外していけば、おのずと真実に辿り着く。

 だが、この妙な違和感に僕は疑念を隠せそうもなかった。



す、ストックが無くなっちまった……

これからは、毎日投稿できないので不定期になりますが、応援よろしくお願いします!


具体的に言うと!

下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援をしていただけると大変これからの執筆作業のはげみになります!

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