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「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜  作者: 大好き丸
20章 魔導大国 編①

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507/508

507、それぞれの立ち位置

 魔導帝を屈服させた魔神マイラとその一行は魔導大国の中心『アルマリウス』に降り立った。

 無論、国の直上には浮遊要塞が威圧感たっぷりにその存在を誇示している。


 マイラたちは魔導帝の居城を拠点にし、この国を支配しようと画策していた。その計画はほとんど完遂したも同様だろう。魔導帝を這(は)い蹲(つくば)らせ、玉座の隣でペットの様に配置される。四賢冠(リゾーマタ)も監視の対象に跪かせられ、壁際に追いやられていた。後は魔神の威光を国全土に知らしめるだけである。


「よぉ、リジュールの奴はまだ戻らねぇのかよ?」


 玉座に座るマイラはイライラした顔で柱にもたれかかるヴィシャナを睨みつけた。ヴィシャナはため息を一つ吐いてマイラを見る。


「……『魔導図書館』に籠もりきりだ。何がそんなに楽しいのか知らないが、出てくる気配がない。施設職員の様にリジュールの邪魔をして闇に取り込まれても面倒なんで放置してきたが……」

「チッ……こっちの仕事そっちのけかよ。だから領地も狭いし、領民にも舐められるんだ」

「そうは言うが、どうしようもないぞ。集中し始めたらテコでも動かん。もうこっちで勝手に進めるべきでは?」

「っざけんな。あいつほっといたら後が面倒くさいぜ。デザイア様にチクられたらどうすんだよ」


 これにはヴィシャナも黙る。リジュールは普段は陰鬱でまったく我を出さずにマイラたちに迎合するが、自分の趣味には滅法うるさく、ヴィシャナの言う様に集中し始めたら山の如し。惚れたデザイア本人に命令されたならともかく、デザイアの名前を借りたくらいでは無視を決め込む。そのくせ、デザイアから賜った仕事も参加しているつもりなので、勝手に色々進めた時はメソメソと泣かれて面倒なことに繋がった。

 デザイアの臣下たる『黒欲聖典(テスタメント)』の内、最も扱いが面倒なのは間違い無くリジュールであることは誰の目にも明らかだと言える。


「それでは僕らが動きましょうか?」


 ヴィシャナの向かい側で立っている3人組がマイラに話しかける。


「あなた方が動くのはダメでも、僕らが動くのは許容出来ると考えますが如何でしょうか?」

「あ? 天使どもが何をしようってんだよ?」


 ニヤニヤといやらしい笑顔で数歩前に出た天使ウノはマイラを覗き込む様に背中を丸める。


「そうですね。とりあえず主要な施設を押さえましょう。特に通信施設は敵の情報を遮断するのに打って付けですよ?……我々の目指すべき道は同じ、いわば同志と呼べる関係です。仕事のお手伝いになると考え、勝手に動いたとあれば面目が立ちます」


 マイラはふと天使たちとの出会いを思い出す。魔導帝を下し、マイラが魔導大国を手中に納めた直後、天使たちが声をかけてきた。天位に遣わされた者たちの切実な願いは見ていて滑稽に映ったので気紛れに同行を許可したのだ。マイラたちのやり方にケチを付けてくるわけでも無いので放置していたが、リジュールの関係で動くのを制限されている今となっては使いっ走りに丁度良い。


「好きにしろよ。……しかし何だな。お前らも大変だよな。天位に顎で使われ、俺たちにヘコヘコしてよぉ。恥ずかしくねぇの?」

「……使命を全う出来るのであれば文句などありませんとも」


 ウノの一瞬の間がマイラへの気持ちを物語っていたが、マイラはあえて無視する。了承を得た天使たちは早速魔導機関ケレブルムに向けて出立しようと踵を返した。


 ──バァンッ


 その瞬間に玉座の間の扉が思いっきり開かれる。玉座の間にいた全員が面食らった様に出入り口へと視線を注いだ。


「我が名は『光の魔導師《マスター・オブ・レディアント》』マウロン=クラウ=シェイラスっ!! 真に選ばれし者として侵略者に勝負を挑むっ!!」


 急に現れた金髪碧眼のイケメン。マイラは笑顔で立ち上がる。


「はっ! 面白れぇっ! 受けて立つぜ『真に選ばれし者』さんよぉっ!」


 マイラはマウロンと対峙する。玉座の隣に四つん這いでいたフェーデラントは焦って立ち上がった。


「よせっ! やめろっ!! 勝てるわけがないっ!!」


 慌ててマウロンを止めようとするが、即座にマイラがフェーデラントを足蹴にして床に転がす。


「っるっせぇ。黙って見てろ」

「ぐぅ……っ!!」


 フェーデラントは腹を抱えて蹲る。それを見たマウロンは小さく首を振った。


「あぁ……嘆かわしい。私は貴方様こそが天に選ばれし者だと崇めていたのに……。ですが崇めるのはもうやめましょう。そこで見ていなさいフェーデラントさん。私が本物であることを証明して見せます」


 突如始まる魔神戦。マウロンは魔導帝に成り代わるため、本気で戦いに挑む。


*


 魔導大国で仲間集めに奔走していた剣聖と七元徳(イノセント)は無事にアセリアの館へと戻り、館で魔導帝のその後を探っていたアセリアやアリーシャを含めた情報共有を始めることになる。

 報告会は特に邪魔が入ることもなく淡々と行われ、各地の情報や魔導星(スターズ)の情報が共有されていった。


「え? シードルが?」


 中でも驚かれたのはやはり『土の魔導師《マスター・オブ・アース》』シードル=クラウ=ガルフォードの仲間入りである。正直、アセリア以外の魔導星(スターズ)が仲間に入ってくれるとは思っても見なかった。それはアセリア自身も考えていた様で、まさかの事態に目を丸くしている。


 しかし冷静に考えてみればシードルの参加はそれほど驚くべきもないこと。金に転がる性格上、今回声をかけた魔水、魔土、魔樹、魔風の中で仲間になる確率が最も高いのはシードルを置いて他になく、また、声をかけていない魔光、魔闇、魔雷の3人を含めたとしてもやはりシードルがトップに躍り出る。

 とはいえ、アリーシャの絶大なコネクションで仲間に入ったアセリア以外の方法で仲間に引き入れるのは至難の業。つまりこの状況は快挙と言って良い。


 他の魔導星(スターズ)の対応は概ね予想通りだった。特に『風の魔導師《マスター・オブ・ウィンド》』キースに至っては呆れるほどである。


「いやぁ、みんな凄いなぁ。感動の拍手を送るよ」


 ──パチパチパチッ


 乾いた音が館内に木霊する。その様は馬鹿にしている様にも見え、集まったみんなからすればあまりいい気のしない態度だった。


「──アセリア。そこまでにして下さい」


 アリーシャはこれ以上傷口を広げない様にアセリアの言動に苦言を呈す。


「ん? 不味った? ごめんごめん。決してそんなつもりじゃないからさ。てか、本気で凄いって思ってるから誤解しないで欲しいな」


 後頭部をポリポリと掻きながら困った顔を見せる。そんな様子を見たブルックは組んでいた腕を解いて一歩前に出る。


「それで? 魔導帝のその後はどうなっているのか調べはついたのか?」

「生きてるよ。四賢冠(リゾーマタ)も一緒にね。君たちから聞いた通り、彼らは支配を目的としているからなのか、安易に殺したりはしない様だね。そこは安心したよ。もし何でもかんでも殺しちゃう様な化け物だったら滅亡は免れなかったね」

「そうか。しかしどうやって分かった?」

「この国には優秀な通信方法があるからね。5人の活躍を最初から記録していた魔導機関ケレブルムが通達してくれた情報だよ。結果は惨憺たるものだった様だけどね」


 アセリアは肩を竦めて椅子にもたれかかる。魔神による魔導大国の支配が着々と行われている現状には危機感を感じずにはいられない。そんなアセリアを横目にアリーシャが口を挟む。


「──とはいえ、これでまた少々時間が出来たとも言えます。魔導帝を手中に納め、四賢冠(リゾーマタ)からこの国の情報を引き出している隙に力をつけましょう」

「……て、言っても情報を引き出すのなんて、それこそすぐでしょ。あたしたちみたいにこういう時間を取るだけで良いんだもん。細部に渡る詳しい情報なんて必要ないわけだし……」

「──それはその通りでしょうね。しかし現状、魔神から魔導星(スターズ)に対して何かしらの通達も接触もありません。戦力を少しでも多く仲間に引き入れる機会など今しか無いでしょう」


 アリーシャの言葉には集まった皆が同じ気持ちだった。一様に静かに頷いて肯定する。巨悪を倒すために一丸となることを心に決めた時、デュランがスッと手を上げる。


「……こんな時にすまないが、1つ気になることが……」


 デュランは皆の耳目を集めたと確信出来たところでゆっくりと語り始めた。

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