↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜  作者: 大好き丸
19章 機界大国 編①

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
450/510

450、魔導大国へ

 レッドたちがドルドバーン王国の戦争に加担した頃、魔導戦艦は魔導大国の領空を侵した。


『──こちらは魔導機関ケレブルム。未確認浮遊物体に告ぐ。お前たちは我々の領空を侵している。今すぐに引き返すか、コースを変えよ。でなければ撃墜する』


 淡々とした声音で警告の通信が一方的に入った。

 艦内に緊張が走る。国土が広く、忘れられた大陸よりも遥かに先進的な大国が『撃墜』を宣言したという事実に心臓を握られたような恐怖が背筋から昇ってくるようだ。特に戦闘要員ではない魔導局技術部門の部下たちは汗を一筋垂らしながら固唾を飲んで見守る。

 予想通りというか、想定通りの展開にルイベリアは喉を鳴らす。


「オリー。繋げて」


 オリーは手首をちょっと捻り、魔力を操作して通信を開いた。チラッと視線を合わせ、ルイベリアに一つ頷く。ルイベリアも感謝を口パクで伝え、正面に向き直る。


「こちらは魔導国ロードオブ・ザ・ケイン魔導局所属のルイベリア=ジゼルホーンである。『魔導星(スターズ)』が1つ『炎の魔導師(マスターオブフレイム)』の許可の元、領空に侵入した。確認されたし」

『──了解。確認する。通信を繋いだまま、その場で待機されたし』

「了解。待機する」


 無言。静寂の時間。


 魔導戦艦に乗り込んだ時点から死を覚悟しなければならないと思ってはいたが、魔導局の本部『魔導機関ケレブルム』から脅されることになるとは夢にも思わない。その上、技術部門でも変人として知られるルイベリアが命を握るのだから、もはや天に救いを乞う他に気持ちの行き場はないだろう。


 両手を組んで跪き、祈りたい気持ちを押さえて数分。緊張しすぎて時間が遅く感じ、たった数分が30分に間延びして感じられた頃、ようやく声が入った。


『──あー……。通信代わりました。こちらアセリア。アセリア=クラウ=メルフロントです。共通の友人から書状を頂きました。今友人を通信に出せますか?』


 アリーシャは懐かしい声に顔を綻ばせ、一歩前に出る。ルイベリアはそれに合わせて一歩引いた。


「──お久しぶりですアセリア。あなたの声を心待ちにしておりました」

『──ふふっ、こっちもよ。……入国を許可します。ようこそ『アイズ・オブ・トゥルース』へ』


 その言葉で艦内の緊張は一気に解かれる。非戦闘員でメンテナンス要員の部下たちはホッと胸を撫で下ろし、お互いの無事を確認し合う。


「ん? ルー。また通信が入っているんだが……」


 オリーの言葉で切れたはずの糸がまたピンッと張り始める。しかし聞こえて来たアセリアの声に肩の力は抜けた。


『──言い忘れてたわ。そのでっかい船を置く場所なんだけど、あたしの領地『ゴスティアット』の一区画を空けるからそこに置いてくれる?』


 停泊場所の指定。龍球では国内に入れてもらえなかったので、ようやく人里に降りられると思うとありがたい限りだった。すぐさまルイベリアが答える。


「了解しました」


 返答を聞いた途端にブツッと切れる通信。特に案内してくれるわけでもない様子にルイベリアは肩を竦めた。


「不親切だなぁ……。アリーシャさんは『ゴスティアット』を知ってる?」

「──ええ。存じております。案内しますのでご安心を」


 アリーシャの自信たっぷりの顔にルイベリアの顔も綻ぶ。


「上手くいったようだな」


 ブルックが艦橋に顔を出す。その背後からゾロゾロと剣聖たちと七元徳(イノセント)が入ってくる。完全装備の姿から戦いを想定していたようだ。


「おやおや? なかなか警戒心が強いことで」

「まぁな。今はレッドもグルガンもライトも居ない。我々だけで何とかしないといけないなら警戒も必要だと思わないか?」

「……そう考えるとさ、今結構ピンチなんじゃないかなって思えるねぇ……」


 ルイベリアは笑っている様な困っている様な微妙な表情で前方を向く。ライトは魔神を倒した実績から剣聖たちの間で信頼され、グルガンは戦闘能力もさることながら頭脳に優れていて頼りにしかならない。それに引き換え見た目や精神面ではまったく頼り甲斐のないレッドだが、戦闘能力は他の追随を許さない。

 地上最強の戦闘能力が不在であることを再確認してしまい不安が押し寄せるが、そんな不安をアリーシャが払拭する。


「──大丈夫です。私にお任せください。レッドさんほどではなくとも、私は結構強いので」


 アリーシャの自信に満ち溢れた顔にブルックたちは肩を竦める。ルオドスタ帝国の『剣神』レベルと目された聖王国最強の『月光の乙女』が謙遜とは世も末である。ルイベリアたち以上にその力を信頼している彼らの内、代表してティオが声を掛ける。


「頼りにしてますよ。アリーシャさん」


 その言葉にアリーシャは微笑み返し、強者の余裕を見せつけた


*


 アリーシャの案内のおかげで無事『ゴスティアット』と呼ばれる地区に行き着いた魔導戦艦は、アセリアが通信で言った通り戦艦が着陸出来る場所を確保してくれていた。『炎の魔導師(マスターオブフレイム)』という呼称通り、火の魔法を駆使した誘導で着陸までをサポート。まさに至れり尽くせりだ。

 着陸後、いの一番に外に顔を出したのは七元徳(イノセント)のクレイ。防御能力に優れているので何かしらの攻撃があれば、即座に防御し、カウンターを決めるつもりの采配だったがそれは杞憂に終わる。


「よ、ようこそ。お待ちしておりました」


 アセリアの専属秘書エマは魔導戦艦の搭乗口と思われる小さな扉の前で陣取っていたのだが、まさか戦艦の貨物用の搬入出口がパカッと大きく開くとは思わず、焦って戦艦の裏側に回り込む。身体が規格外に大きいヴォジャノーイやドラグロス、3m級のオディウムを搭乗させるために専(もっぱ)ら搬入出口を出入り口として使用しているなど知る由もない。


「お〜っ、これはこれは。お出迎えとは特別待遇だねぇ」

「ええ。アセリア様の大切なご友人を丁重にもてなすのは当然でございます」


 ルイベリアの軽口にエマはクイッとズレたメガネを上げた。目だけをキョロキョロと動かして件(くだん)の人物を探す。

 八剣聖のブルック、セオドア、デュラン、レナール、アレン、ブリジット。七元徳(イノセント)のティオ、ランドルフ、オーウェン、クレイ、クラウディア、アドニス、リディア。ルイベリアの周りに集まっているのは風に聞いた超有名人揃い。


「……噂には聞いておりましたが、凄まじい戦力ですね。大国の切り札と呼び声の高い方々がこのようにズラリと並ばれますと流石に壮観といいますか……恐怖を感じてしまいます……」


 あまりの戦力に額から汗が一筋流れ落ちる。澄まし顔で心の内を見せない様に努力している様だが、体は正直に胸中を吐露している。背後に控えるエマの部下たちも固唾を飲んで強すぎる彼らの一挙手一投足を見守る。


「──ご安心を。彼らは味方です」


 優しく告げられた言葉と共に優雅に颯爽と現れたのは目当ての人物、アリーシャだった。


「アリーシャ様でございますねっ! お噂はかねがねっ! かの『原初の魔導師(マスターオブルーン)』にお会い出来るなんて光栄の極みっ!」


 『原初の魔導師(マスターオブルーン)』と聞いて全員がアリーシャに目を向ける。その目は予(あらかじ)め聞いていなかったものたちの困惑の眼差しだった。アリーシャは苦笑しながら右手を上げてエマの興奮を制する。


「──お話は後にしましょう。まずはアセリアに会わせてください」

「もちろんでございますっ!! 魔動車を用意しておりますので、アセリア様のお屋敷までご案内いたしますっ! ささっ! こちらへっ!」


 エマは平身低頭アリーシャたちを魔動車へと案内する。人数が多いことを予想していたのか、目に見える範囲だけで5、6人が乗れそうな大きさの魔動車が7台。

 ルオドスタ帝国や聖王国ゼノクルフでも魔動車は使用しているが、各国で使用されている魔動車の形状は豪華な馬車に酷似している。しかし魔導大国で使用されている魔動車は流線型で空気抵抗を極力減らした設計をされており、より速くに重きを置いた乗り物という印象を受けた。


「なんだぁ? 随分と先進的だなぁ」

「そうですね。機界大国と共同開発した最新鋭の車です。その内これが普通になります」


 セオドアの言葉にエマは何でもない様に答える。装飾がついているのが当たり前だった今までの常識を覆すシンプルなデザインは少し物足りなさを感じたが、革新的なこのモデルこそが未来の形なのだろうと思わされた。


「搭乗人数に上限がございますので4、5人ずつで別れて乗り込んでください。台数もそれなりにございますので慌てる必要はございません。全員が乗ったのを確認後、すぐに出立いたします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。