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「地下室で見つけた、ですか?」
五郎はどんな相手でも、丁寧な敬語を使います。たとえ部下であっても変わりません。
緊張したままの藤村は、無意識に背筋を伸ばしせわしなく眼鏡をさわりながら答えました。
「はい。お家の財産目録を作成する目的で発見いたしました。とりあえず、ご相談申し上げたいと参上したしだいでして……」
「拝見しましょう」
低く呟くと、五郎は問題の段ボール箱を受け取り蓋を開けて真剣な表情で検分しました。
「これは……いわゆるファミコンカセットというものですな!」
ほう……と、軽くため息をつくと五郎は鋭い視線を藤村にそそぎました。
「はい! ご推察どおり、これはファミコンカセットです。しかもこの量、数えましたところ50本ほど入っておるようでございます」
藤村の返事に、五郎は少し首を傾げ考え込む様子を見せました。
「大変な価値のあるものですね。わたしでもそれはわかります」
不意に五郎は椅子から立ち上がると、大股でデスクを回り込み、藤村の側に位置を変えました。
身長180センチの高みから見下ろされ、藤村は圧倒される思いでした。
「お嬢様にご相談いたせねばなりませんな!」
「美和子お嬢様に、ですか?」
五郎の言葉に、藤村はポカンと口を開けてしまいました。
筆頭執事は深くうなずいて続けます。
「左様。これほどのお宝、価値を確実に判定できるのはお嬢様以外、いらっしゃいません」




