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二人がそろって美和子の自室に顔を出すと、異様な光景が目の前に広がりました。
そこにはいつもの美和子の部屋ではなく、鬱蒼とした南国の密林が昼なお暗く、巨大な熱帯植物が繁茂し、地面をつかむ根には気味の悪い昆虫だの、ぬるぬるとした光沢を放つ細長いなにかの生物などが這いまわっておりました。
五郎は平然としていましたが、その横に立つ藤村はあっけにとられ、眼鏡の奥の両目をいっぱいに見開き口をあんぐりと開いたままにしたくらいでした。
そんな密林の奥深く、わずかに視界が開けたところに、ふたりの少年少女が油断なく歩を進めているのが見分けられました。
少年の手にはライフル銃が握られ、サファリハットをかぶり足元はひざ丈のブーツでまるで19世紀の探検家といった服装でした。その横を歩く少女はなぜか日本の合気道の道着を身に着け、長い髪はうしろで束ね堂々とした身ごなしで歩いております。
ふたりが歩くとなぜか風景がそれにつれて後ろに下がり、どこまでも続いていくのでした。
ところが二人を眺める五郎と藤村はただ立ち尽くしているだけで、かれらの目の前のジャングルがどんどんと横にすべっているだけなのでした。
「美和子お嬢様、入室をさせていただきます」
五郎が声を張り上げると、二人の少年少女はぴたりと動きを止め、執事と藤村のほうに向きなおりました。同時に密林の光景は消え失せ、美和子の自室が一瞬であらわれたのでした。
「こ、これは……」
汗びっしょりになって立ち尽くす藤村に、五郎は冷静に説明しました。
「なに、美和子お嬢様のいつものゲームです」




