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外部でシティに拒絶されていた人々は、今や怒りの矛先をシティ内部に向けています。
手当たり次第に並んでいる商店に侵入し、並べられている商品をわれさきに両腕に抱え持ち去ろうとしています。そとからなだれ込んでくる人の群れと、手にした戦利品を持ち帰ろうとする人々で混雑しています。
シティ住民は外からの暴徒に圧倒され、逃げ惑うだけでした。しかしまったくと言っていいほど、暴力に耐性がないので。ある人はでくの坊のように立ち尽くしているだけだったり、また違う場所ではげらげらと狂的に笑っている人もいて、まさにカオス状態でした。
「どうするの、五郎。どこへ行けば安全が確保できそう?」
車内から美和子がマイクで五郎に話しかけました。混乱の中で、美和子は冷静さを保っています。
五郎はまっすぐ前を注視し、美和子に答えました。
「この白鷺号が標的になりそうです。ここは車を放棄し、身一つで逃げるのが肝心かと思います」
「そうね。いくら重装備とはいえ、こんな悪目立ちする車、目立ってしょうがないわ」
二人の会話にAIのマルがしゃしゃり出ました。
「そんな殺生な! あちしを置いていくんですか?」
ふむ、と五郎は一瞬考えこみました。
「そうですな……マルの情報量は貴重です。ならこいつのコンポーネントは外せますから……」
といいながら、五郎は車のダッシュボードを開き、内部の複雑な機構をむき出しにしました。
「あーら、お恥ずかしい……見えちゃったのねえ!」
マルの集積回路と記憶部が埋め込まれた専用コンポーネントが、五郎のたくみな操作ですっぽりと抜き出されました。全体は水晶のような透明な一枚板で、内部の光素子がきらきらと発光しています。
「あとは適当な外部端子をさがせば、復活するでしょう」
白鷺号が停車し、車内から全員が外へと飛び出しました。
洋子が叫びました。
「ここから、どこへ行くの?」
「秋葉原よ!」
美和子が宣言しました。




