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「ど、どうしちゃったの?」
さすがの美和子も今の事態には驚いたようです。座席の背もたれにしがみつき、周囲からなだれこんでくる群衆をただ茫然と見守っているだけでした。
「お父さん!」
「うむ。少々やりすぎた」
唇をかみ、五郎は白鷺号を発進させました。
車体の両側には、シティ内部を目指す人々がゲートの幅いっぱいに埋まり、われさきにと中へと飛び込もうとしています。その間を、白鷺号はじりじりと進んでいます。全速力で走りだそうものなら、たちまち前方の人間を肉挽き器のようにすりつぶしてしまいそうでした。
荷台の源次郎は、車体にしがみつく連中を、ちぎっては投げあるいは引きはがし、大活躍です。顔は真っ赤に上気し、まるで赤鬼のようでした。
ゲートのトンネルの前方に、シティ内部を守る警備ロボットが姿を現しました。しかしシティ内部の警備ロボは、門番ロボほどの頑丈さや、重量を与えられていません。そもそもこんな事態に対応できるような性能ではないのです。
やわな構造の警備ロボは、たちまち殺到する群衆の手でばらばらに分解され、地面にたたきつけられました。
人々の流れに乗り、白鷺号は大京シティ内部へとたどり着きました。
ゲートを通過すると、大京シティ内部の景観が広がります。
完全な環境を構築したシティは、空気すら変わっているようでした。外の湿度は内部では適度な乾燥状態で、温度も適温が保たれています。そこに居住する市民もまたこざっぱりとした服装で、外部のスラムに暮らす人々とは隔絶した生活を送っていました。
しかし今はあちらこちらで略奪が横行していました。




