4
操縦席の窓がするすると引き込まれ、五郎が顔をのぞかせました。太郎も五郎の横に座り、緊張した表情でロボを見上げています。
「身分証明書ヲ見セナサイ」
ぎしぎしと軋るような合成音声で、門番ロボが命令しました。本来なら人間らしい、ソフトな音声で会話できるのですが、あいてに恐怖をあたえるためこのような非人間的な音声なのでした。
五郎は右手をかすかに動かしました。同時に言葉を発します。
「身分証明書はひつようないよ」
一瞬、門番ロボの動きが止まりました。
「身分証明書ハ必要ナイ……」
五郎の言葉をおうむ返します。同時に活動中を示すパイロット・ランプがまたたきました。
「わたしたちは、お前たちが停めるような危険人物ではない」
「オ前タチハ、危険ナ人物デハナイ……」
もう一体のロボも全身をゆらゆらと揺らし、同じ言葉を繰り返しています。
その様子に、周囲の人間がじりじりと集まってきました。
五郎は言葉をつづけました。
「通っていいかな?」
「通ッテ、ヨシ!」
「そのまま、休みなさい」
「ソノママ、休息……」
Tロールのパイロットランプのまたたきが消え、門番ロボはゆっくりとその場にうずくまりました。
五郎の行ったのは、門番ロボのような低知能ロボにたいする暗示でした。特殊な手の動きと、制御された声の調子で、ロボのコントロールを奪う執事の秘密技術なのです。
「Tロールが動かなくなったぞ!」
周囲から興奮した声が上がりました。
わーっという喚声とともにその場の人々が一斉にゲートに殺到します。たちまちあたりは混乱の巷となりました。




