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「なんでっか、その迷惑壁(めいわくかべ)って?」

「メイドカフェよ。いい加減に真面目に聞いてよ」

「へえ、お聞きしまっさ」

「メイドカフェってのはね、半世紀くらい前の昔に流行った喫茶店なの。そこではメイドに扮した店員が、お客様に『お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様』って挨拶して接客するの」


 アイリスはけらけらと笑い出しました。


「なんや、そんなことうちらが毎日やってることですやんか。そんなんやって、楽しいかなあ」

「それだけじゃないのよ」


 洋子は自分のスマホを取り出し、ホロ映像を出力しました。ふたりの中間に、昔のメイドカフェの店内コンサート映像が浮かび上がります。ステージで整列するメイドたちが歌い踊り、店内の客がいっせいにオタダンスを披露する熱狂的な映像でした。


 アイリスは目を丸くしました。


「なんや、楽しそうやなあ! こんなん、毎日やってん?」

 洋子は大きくうなずきました。

「そうよ、単に接客するだけじゃなく、こうしてお客と一緒に盛り上がる場だったの。あたしとアイリス、あんたがこのカフェを開店したら絶対評判になると思うんだ」


 洋子はじっとりとした目つきでアイリスを誘います。

「ね、あんたとあたしで、”案件板”こっそりゲットしましょうよ」

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