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挿絵(By みてみん)

 藤村不二夫(ふじむらふじお)というのがその人物です。


 真行寺家は膨大な財産を誇りますが、当主の美和子の父親、それに母親もとびきりの善人でありましたが経営については全くノータッチでした。


 あとで述べますが、真行寺家の財産を管理するのは、筆頭執事の只野五郎(ただのごろう)という伝説の執事でした。かれは執事学校を首席で卒業し、真行寺家に仕えてはめきめきと頭角を現し、わずか3年で筆頭執事になって真行寺家の財政を任されるようになりました。筆頭執事というのは「はい、旦那様。かしこまりました」と身の回りの世話をするだけではなく、主家の財産を守るためあらゆる手段を講じるものです。


 しかしすべての財産管理をかれ一人で切り回せるわけもなく、財産目録を管理するため、藤村不二夫が雇われているのです。


 藤村は(ここからはこう呼びます)、真行寺家に雇用されてきちんとした財産目録が存在しないことに驚きました。

 なにしろ百年以上続く名家ですので、代替わりのたびにさまざまな事業や、ほかの貴族との交際、購入したものが増築された部屋、蔵に書類、器物などが雑然とおさめられ、だれもその中身を把握しておりませんでした。


 ひょろりとした痩身で、巨大な眼鏡をかけた藤村はある種の昆虫のような見かけで、前かがみの姿勢でせかせかと屋敷中を歩き回り、今では使われていない部屋、蔵などを丹念に見て回りました。


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