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美和子は素知らぬ顔でうつむき、つま先で地面の玉砂利をつついています。
「たくらんでいるなんて、そんな……誤解ですわ」
後ろ手になり、まともに母親の顔を見上げたりはしませんでした。
「美和子、こちらを向くのです」
母親の言葉に、美和子は顔を上げ百合子を見つめました。
両目をぱっちりと見開き、「あたしはなにも悪いことしてません!」という表情を浮かべます。
今まではこれでなんとかなりましたが、今朝は通用しませんでした。
百合子は背筋をのばし両腕を胸の前で組みました。
「正直におっしゃい! この旅行の本当の目的はなんなの?」
緊張の一瞬です。
美和子のへの字になった唇が、うっすら笑いの形に歪みました。
「実は……」
「実は?」
「F田のお宝を探すんです!」
大声で宣言すると、素早く蒸気車に飛び込みました。
「五郎さん、太郎、出発よ!」
美和子の叫びに、一同は大慌てで車に飛び乗ります。
その瞬間、蒸気車のエンジンが始動し、玉砂利を踏んで動き出しました。
窓から美和子が顔を突き出し、ぼけっと突っ立っていた源次郎に叫びました。
「源次郎、早く乗るのよ!」
わっ、と源次郎は駆け出し、蒸気車の荷物置きに飛び乗りました。
「行ってきまあす!」
長く尾を引き、美和子の別れの挨拶が庭全体に響き渡りました。




