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 五郎はあらたまった様子で両手を後ろに組み、美和子に話しかけました。


「それで旅の人選ですが……お決まりですかな?」

「旅の人選……?」

「さよう、お嬢様おひとりで旅にでられるおつもりでしたか?」

「そうじゃないけど、考えてなかったわ」


 ちらっと美和子は太郎とアイリス、洋子を眺めました。


「そちらの三人、太郎!」

「はいっ!」


 元気よく答え、太郎は一歩前へ出ました。


「アイリス!」

「まかせてやっ!」


 ぴょんと跳ねるようにアイリスは太郎の横へ並びました。


「洋子!」

「お任せください!」


 満面の笑みを浮かべ、洋子はアイリスの隣に進み出ました。


「この三人は連れて行くわ」


 かすかに五郎は首を振りました。

 五郎の様子を見て、美和子は心配そうな表情を浮かべました。

「ダメなの?」

「いいえ、この三人だけでは不足です。あと四人、必要でしょう」


 そういうと五郎はくるっと振り返り、合図をしました。


 と、それまで荷物の影になっていた場所から、あらたに三人が姿を現しました。

 藤村不二夫、鈴木源次郎、田端幸次の三人が誇らしげな笑顔を見せ歩み寄りました。

 その顔触れを見て、美和子は首をかしげました。


「まだ三人しかいないじゃない?」


 美和子の質問に、五郎はうなずきました。

「はい、わたくしもご同行させていただきます」


 五郎の答えに太郎、アイリス、洋子の三人はぱっと顔を明るく笑顔になりました。

「そら、五郎はんが一緒なら安心やわ!」

 ぴょんぴょんとアイリスが小刻みに跳ねて、手を叩きました。


 太郎は逆に緊張した表情になります。

 そんな太郎の様子に気づいた洋子は、太郎の袖をかるく引っ張り話しかけました。


「どうしたの? 五郎さんが一緒なら心強いじゃない」

「いや……」


 太郎はよわよわしく笑みを浮かべました。


「お父さんが一緒だと旅の最中、一日中稽古がつづくからね」

 ああ、なるほどと洋子はうなずきました。そして太郎の背中をぱん! と勢いよく叩きました。

「がんばりな!」


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