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 元気よく美和子は立ち上がると、壁際に控えていた召使たちに向き直りました。


「聞いていたわね。これから旅の支度よ!」

「はい!」

 と五人は一斉に返事をしました。


 花嫁修業に名を借りたお宝探しの目的を、全員承知して阿吽(あうん)の呼吸です。


「五郎さん、太郎さん、支度を頼むわね」


 筆頭執事の只野五郎と息子の太郎は、深くうなずきました。

 美和子は両親にふたたび向き直り、丁寧にお辞儀をしました。


「それではお父さま、お母さま、美和子は旅の支度にはいります」


 うんうんと、大吾はうなずくだけです。母親の百合子は何を考えているのか、無表情でした。

 部屋を出ていく美和子に、五人の召使たちが続くと、百合子は手を上げ五郎を呼び止めました。


「五郎、ちょっとあなただけ残ってくれない?」

「はっ!」


 短く答え、五郎は急いで母親のもとに向かいました。

 美和子の足音が遠ざかると、百合子は五郎に手招きしました。内緒の話があるようです。


「あなた、高倉家の連絡先は承知しているわよね?」

「はい。ご推察通り、高倉家とは執事同士の連絡がついております」


 二人の会話を耳にし、大吾は驚きの表情を浮かべました。

「百合子、お前?」


 驚く大吾に、百合子は苦い笑いを浮かべ答えました。

「当り前じゃないの。娘を心配しない母親がどこにいます? この際、高倉家に依頼して、美和子をサポートしてもらいます。それに……」

 と、百合子は楽しそうに笑顔を見せました。


「旅の途中、ケン太さんと偶然に出会うこともあるじゃない?」

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