表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/31

 百合子はぼんやりと美和子を見つめました。


「それをしたいと……?」

「はい」


 短く答え、それまでひねくっていた膝のハンケチをテーブルに置きました。手許を一切見ていないのに、見事な鶴がおられています。


「わたくしこのお屋敷と、学校生活しか知りません。あまりに世間知らずで、これでは花嫁になるには教養も、常識も足りないと自覚しています。だからこの際、世間を知るということもふくめ、日本国を旅したいと思うのです」


 それまで壁際で三人の会話を聞いていた太郎が、そばにいた五郎を見上げ執事特有の”暗話(あんわ)”という技術で話しかけました。これは特殊な発声法を用いて周囲には聞こえない音で、会話する執事やメイドたち召使の技術です。もちろん洋子やアイリスも二人の会話は聞こえています。


「お父さん、妙な具合になりましたね。花嫁修業とはつまり?」

「ああ、本当の目的はF田のお宝だ! 美和子お嬢様、考えたものだ」

「どうしますか。僕は美和子お嬢様が心配です」

「だが、お嬢様の意思は固い……というより、こうと決めたら一歩も引かないのがお嬢様だ。お前も覚悟するんだな!」

「僕が! それはどういう意味ですか?」


 ここで五郎は太郎に顔を向けました。


「決まっているだろう。お前がお嬢様を守るため同行するんだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ