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白衣に帽子というスタイルから連想させる通り、厨房担当のコック見習いの一人です。見習いなので今はアフタヌーン・ティーを担当しています。
あわてもので、失敗も多いのですが、百合子に気に入られて首にならずにすんでいるというのが実情でした。
それでも手早く幸次はポットにお湯を注ぎ、茶葉が開くのを待って三人分のお茶を注ぎました。
そして一礼して、素早い足の運びで幸次は出てきたドアに向いました。ドアを開いて、もう一度お辞儀をすると姿を消しました。
今度は絨毯の毛足に足元をとられることなく、無事に退出できました。
三人は無言で茶器をとり、午後のお茶をゆっくりと口に含みました。
頃合いとみて、百合子は顔を上げ、まっすぐ娘の美和子に向き直りました。
「美和子さん、今日あなたをここへ呼んだわけご存じですわね?」
「はい、お母さま」
「今日こそ、良い返事を聞かせてもらいますよ。さんざん、あなたはいろいろ言い訳をしたけど、もう限界です。真行寺家のために、どうしても承諾してもらわなければ!」
「おいおい、百合子。そんな言い方すると美和子が答えづらくなる」
父親の大吾はつい、口を挟みます。




