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父親の大吾は恰幅がいい大柄な体格で、豊かな髪は健在でしたが、ほぼ白髪になっています。年齢は50代なかばで、母親の百合子はまだ40代になったかならないか、という若さでいわゆる年の差婚でもありました。
祖父のような年齢の大吾は、初めて授かった美和子に対し、これ以上ないほどの甘ったれた父親でもありました。
母親の百合子は、美和子が年齢を重ねたらこうなるであろうという美貌の持ち主で、40代に入っても、いまだに美和子と並ぶと姉妹かと勘違いされるほどの若さを保っておりました。当然、大吾はそんな妻にいまだに恋愛中ともいえるほどべた惚れでした。
その両親の前に、部屋を占領しそうなほどの巨漢が、のっそりと立っておりました。大きな背中をちょっと前かがみ気味にして、控えております。
その男は、ちょっと入室した美和子たちに気づくと、洞窟の奥から響いてくるような低い声で両親に話しかけました。
「それでは旦那様、奥さま、わっちは仕事に戻りますだ」
田舎臭い口調でそれだけを言うと、深々と頭を下げくるりと背中を見せて歩み去りました。のしのしと歩くその姿は、縦よりも横幅が広そうな体つきで、薄い生地のシャツの下からかれの筋肉のうねりがはっきりと見て取れそうな迫力がありました。
鈴木源次郎というのが、彼の名前です。年齢は50を越したばかりで、真行寺家に代々仕えている庭師の一人でもありました。今回は真行寺家の庭のデザインについて報告をするため参上したのでした。
源次郎が退席すると、五郎と太郎は、素早く動くと美和子のために軽い椅子を用意しました。その動きを待って、母親の百合子が美和子に着席を促しました。
「美和子さん。まあお座りなさいな」
はい、お母様と美和子が素直に椅子に着席すると、五郎、太郎、アイリス、洋子、藤村たち使用人は壁際に控えて親子の会話を待ち受けました。




