19/44
1
やがて一同の目の前に廊下の突き当りが近づきました。そこには廊下の幅いっぱいを占めそうな巨大な両開きの扉が見えてきます。
五郎は早足になると、扉の前に歩み寄りかるくノックをしました。
顔を扉に近づけ、口を開きました。
「旦那様、奥さま、美和子お嬢様がいらっしゃいました」
おはいりなさい、というややかすれ気味の返事が扉の向こうから聞こえてきます。
はっ、と五郎は軽く一礼をすると両手を扉の取っ手にかけ、静かに開きました。
素早く前に出た五郎は、開いた扉の向こうに歩み寄り、もう一度一礼しました。
ここが美和子の両親がいつも過ごしている専用の部屋です。
床には毛足の長い絨毯が敷き詰められ、高い天井、壁は一面を白く塗られ、窓は広くさんさんと外光が中にそそぎこまれています。部屋の一方には大理石の暖炉に、来客用の豪華な長椅子とテーブルの3点セットが部屋の真ん中を占めています。
美和子の両親、父親の真行寺大吾と母親の百合子が、窓を背に仲良く椅子に腰かけております。ふたりの中間にはほそい足の丸テーブルが置かれておりました。




