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第七話

「今年も蛍の季節が来たねぇ」


暇になると、すぐに独り言を言って、周囲の人を困らせてしまう。

ここ最近の悪い癖だ。


「もうそんな時期ですか。全く気づきませんでした」


毎年、山で儚く消える蛍の光を見てきた。

今年はもう、見れそうもないが。


「聞こえなかったふりをすればいいのに……優しいねぇ」


そう話す相手は、良く知る人だっただろうか。

それすらもう、曖昧だ。


「そんなこと、ないですよ」

そう、はっきり言い切る少年の瞳には影が指していた。


「何かあったのかい?老いぼれでよければ話を聞くよ」


少年はなんだか、昔馴染みのような気がした。

年齢的に、そんな訳はないのだが。


「そんな、大丈夫ですよ。申し訳ないですし……」

「そうかい?それならいいんだけれど……」


「それで、おばあさんはどうしてここに?」


私はどうして、ここにいたのか。

言われてみれば、どうしてかわからない。


どこへ行きたかったのだろう。

何をしようとしていたのだろう。


「わからないのであれば、一度ご家族と連絡を取りましょう。通話機器はありますか?」

「それが、持っていなくてねぇ。ごめんねぇ、迷惑をかけて」


「いえ、大丈夫ですよ。では、近くに公衆電話があったはずなので、そこに行きましょう」


風が吹く。

シャボン玉が飛ぶ。

その様子を、ただ眺めていた。


「何か、気になることでも?」

「いや、大丈夫だよ」


少年は、何かを言いたそうにしている。

そして、数秒が経ったころ、歩く速度を上げて前に進んだ。


それを見て、私もより早く歩く。


「つきましたよ。では、時間も時間なので、僕はこれで」

「ありがとうねぇ。ところでお前さん、名前はなんて言うんだい?」


「あぁいや、ここではその質問はご法度か。……とにかく、ありがとうねぇ」


風が吹く。

シャボン玉が踊る。


「皆様には、スイと呼ぶようお願いしています」


そう言って、少年はどこかへと歩いていく。

その背は、やはり彼と良く似ていた。

蛍の出演は限りなく少ないです。

適当に決めたサブタイトルが私に牙を剥いている。


そういえば、活動報告では言いましたけれど、

日間、週間共にランキング乗りました。

ありがとうございます。

鬼畜作、執筆頑張ります。


by作者

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