第六話
彗星のごとく現れたスター。
そう呼ばれている彼女の中身は、ただの子供。
身長が高く、大人っぽい見た目に反し、幼児のような性格を持つ彼女は、僕にはどうしようも出来ないほど我儘だ。
そんな我儘でも生きていけるのは、多くの広告に起用されているからだ。
特に化粧品関係。
会社同士が競うようにしてギャラを上げ、今ではもうほとんどそれだけで生きているようなものだ。
そんな彼女にとって、あのスポンサーなんて安いものなのだろう。
それでも僕は、止めなければならない。
何故かということさえ知らない。
それでも、ただ命令に従うだけだ。
「あの、お客さん。ずっとそこにいられると他のお客さんの邪魔になるんで、避けていただけませんか」
そう言われ、声がした方を向いた。
そこには、僕なんかより余程大柄な人が居た。
「すみません、すぐに避けますので」
そうは言ったものの、避けるなんて、出来るはずがなかった。
すぐ近くの商品を眺めるふりをして、ただひたすら、彼女が戻ってくるのを待った。
窓の外が見えるように少しずつ移動する。
手に持ったいくつかの商品は、彼女の好きなものだけだった。
「スイさん。また来たんですか?」
その声に、はっとする。
彼女によく似た声。
けれど、その声には温度があった。
氷水くらい冷たいあの声とは、違って。
「いつもそのパンばっかりじゃないですか〜。流石に覚えましたよ」
アルバイトの反応を見るに彼は、いつもここに来るのだろう。
ただ、あの花束を捧げるために?
狂ってる。
そんなことばかり考えて、外を見るのを忘れそうになる。
僕の瞳に映るのは、飴色の髪。
思わず、持っていたトレーを落としてしまった。
そんなものは無視して、店を出て走った。
義務。
僕が彼女に対して持つものは、それだけではないのかもしれない。
そう、思ってしまった。
「お嬢様!」
「何?私はお嬢様なんかじゃないわよ?」
「いえ、僕にとっては……ただの我儘な、お嬢様ですよ」
雑な終わり方。
いつか改定します。いつか。
by作者




