第五話
「何よ!好きなパンすら買わせてくれないの?!」
自分のものとは思えないほど、大きな声が出た。
お母さんが聞いたら、はしたない、と叱るだろうか。
「申し訳ございません。ですが……契約ですので」
「そんな契約、破棄してしまえばいいじゃない」
そう簡単に破棄出来ないことも、わかっている。
けれど、食べたいものすら食べられないのなら、そんなものいらない。
「お待ちください、お嬢様!」
その声を背に、私は店を出た。
その時にはもう、何かを食べようという気はなくなっていて。
我儘な自分とスポンサーに、吐き気がした。
「どうしてみんなして、私の食事を制限させるのかしら。好きなものくらい、食べさせてくれればいいのに」
そんなことをブツブツと言っていると、突然、目の前に人の顔があった。
「大丈夫ですか?あまり前を見ていなかったもので……申し訳ありません」
そう謝る彼の顔には、まるでファッションショーの舞台から見える観客のような、満ち足りた笑顔が浮かんでいた。
その笑顔に対し、私は声を荒げるようにして言った。
「謝罪だけじゃ足りないわ!お詫びとしてAのパンを買ってきて頂戴!」
場所はここよ、と言って、今いる場所と事務所の真ん中あたりにあるカフェを指差す。
困惑顔の彼に、続けて言う。
「じゃあよろしく。……礼は弾むわ」
そう言って、前に歩く。
男の声が聞こえた気がしたが、無視して目的地へと歩を進めた。
続きを書く私へ
ごめんなさい。
頑張って…




